その子二十歳櫛にながるる黒髪のおごれる春のうつくしきかな
与謝野晶子の歌を連想した。
明子は当時十七でさらに若く、夢みる夢子ちゃん。
いくつか抑えておくべき点があるが、夢子ちゃんはそのひとつであろう。
そして夢子ちゃんのはじめて参加した舞踏会は、明治天皇の誕生日であり祝賀会。
夢子ちゃんは、フランス語に堪能。
で、舞踏会のはなしは、思い出話。夢子ちゃんであったときのうつくしき思い出。
で、思い出のよきパートナーであった紳士、海軍将校は、明子夫人にとってはあくまでもジュリアン・ビオでしかない。
ジュリアン・ビオの筆名、ピエル・ロティではない。ピエル・ロティの作品に、『お菊さん』がある。
ジェネレーションギャップという見方もできようし、男女差という見方もできようし。
私は、うつくしき思い出はひとつの特別な、パラレルワールドという見方をしている。
一生の宝。