第52話 金色興奮中
いろいろあったプールも、流れる時には逆らえないもので。
気が付けば
そんな夕日を、乗り慣れた高級車の車窓から疲れ目で眺めているのは私。
ほんと、いろんなことあったなぁと…気怠い気分のまま私は思う。
遊びまくったせいで
まるで飢えた獣みたいに興奮した麗奈に、首元にキスマークをた〜っくさん付けられたりして…。
好きを知らないとか言ってた私が、この気持ちが初めて『恋』だと気付いたり。
偶然、逃げてる柳生さんを追いかけたら…朧ちゃんが柳生さんに告白してた場面を目撃したりして…、
うん、めっちゃ
気怠いこの疲れが驚きで、どっかーーん!って吹き飛ぶくらいにはめっちゃ濃いいよ。
初めてのアトラクションプールなのに、プールで遊んだことより麗奈達のことしか頭にないよ!
それはそうと…。
結局、朧ちゃんと柳生さんがどうなったのか私達は知らない。
なんとかして朧ちゃんから聞こうとはしたけど、朧ちゃんがものすっっっごいキレてたから私達は二人の間に入れなかった。
結局、悶々としたまま私と麗奈は朧ちゃん達を待っていると、なにやら頬を染めて恥ずかしがった様子の柳生さんが帰ってきて、詳しく聞き出そうとしたけど、何も言ってくれなかった…。
「…どうなったんだろー」
ぼそっと呟きながら、車を運転する柳生さんを見る。
席から見える柳生さんの姿は、後ろ姿だけでいつものスーツ姿をカッコよく着こなしている。
朧ちゃんに追いかけ回されてた時みたいに、恥ずかしがってる様子はなく。
いつもの冷たい感じの表情で、感情一つ表すことなくハンドルを握っている姿は、完全にいつもの柳生さんだ。
ほんと、ついさっきまではあんなに表情崩れてたのに、柳生さんって切り替え早いなー。
なーんて感心していると、瞼がずぅんっと重くなって…私はうとうとと首を傾けるはじめる…。
小学の頃から思ってるけど…どうしてプールのあとって、こんなにも眠くなっちゃうんだろう…?
私は、あまりの眠さに瞬きを何度か繰り返して、それでも眠いから目を
麗奈は既に力尽きていて、すーすーと寝息を立てて座席から滑り落ちそうになりながら眠っていた…。
そんな面白い姿なのに、その姿はまるで眠り姫みたいで……美しく眠る姿にドキドキと胸が高鳴り始めてくる…。
手を繋いで、誰よりも慕ってくれて、誰よりも愛してくれて…囁いてくれて。
それでいてキスをしてくれて、私にえっちな気持ちを向けている…。
…私、前世ですっごく良い行いとかしたのかな?じゃないと説明つかないよー。
こんなにも可愛くて綺麗な女の子に恋をするだけでもお腹いっぱいなのに、愛してくれるなんて…そんなのもう食べきれない。
ああ、でも…食べきれないくらい愛してくれる麗奈だからこそ、私は初めて好きって気持ちに気付いたのかもしれないね…。
「すきだよ…れいな」
麗奈の耳元に唇を寄せてぽしょっと囁くと、その小さな肩に優しく頭を預ける。
ほわほわと暖かい気持ちを胸に抱いて、小さく名前と愛を囁いて…私は目を瞑った。
そして、車に揺られている間…私は麗奈と抱き合う夢を見たのだった…。
◇
「今日は色々ありましたね」
「そうだね〜…ありすぎて頭ごっちゃごちゃだよ…」
屋敷に戻ったあと、私は麗奈の部屋にある大きなベッドに二人して腰掛けると、今日の出来事を苦笑混じりに話し合う。
麗奈自身、私と同じで朧ちゃんの事とかでいっぱいいっぱいらしく、柳生さんとの進展が気になって仕方がないみたい。
「あのお二人が、まさか恋愛関係にあったなんて…気付きませんでした」
「だよね、まさか朧ちゃんが結婚しよう!なんて言ってた時は目玉が飛び出るかと思ったよ!」
「わかります、あの柳生さんがあんなにも表情を崩していたのもあって、私も驚きが隠せませんでした」
うんうん…と賛同するみたいに大きく頷いてから、麗奈はフッと安心したような笑みをこぼした。
「でも、あの柳生さんが瀧川さんの前であんなお顔をしてるなんて…やはり恋は人をおかしくしてしまうのでしょうね」
「おかしく?」
「はい、だって私も…結稀さんに恋をしたせいで、おかしくなってしまったのですから♡」
ふふっと微笑みかけて、麗奈は私の手を優しく取ると…私の手は麗奈の胸にそっと置かれる。
揉むように
ドキドキ…って、麗奈の
麗奈のくりっとした可愛い瞳には、私を閉じ込めるみたいに、私だけをずうっと見つめてる…。
瞳に反射して映る私も同じように、瞳の奥に麗奈を閉じ込めていた…。
「私のこと…ほんとに好きだよね、麗奈」
「結稀さんが私を変えたんです、人に興味のなかった私を…こんなにもドキドキさせてしまうくらい、私は結稀さんに恋してる♡」
「麗奈…」
熱い視線が交差して、絡まり合って…複雑になっていく。
ドキドキとお互いの鼓動が響き合って、恥ずかしさのあまり頬に熱が浮かび上がる…。
視線は、ぷるっと膨れて艶やかな唇に注目してから……。
「ねぇ、キスしてもいい?」
「キス、してもいいですか?」
二人の気持ちが、
「………ふふっ♪」
「あははっ!おんなじこと、かんがえてたなんて…!ははっ!」
クスクス、あははって、流れた沈黙のあとに私達は吹き出して笑い合う。
目尻に涙を浮かべちゃうくらい大笑いしたあと、胸に幸福を抱いたまま私から唇を重ねた。
「ん!?む、むう…!」
好きアリ!って勢いよくキスしたから、驚きを顔に出した麗奈が不満そうな声をあげて、舌をきゅう〜って強く絡めてくる。
舌を入れたキスは、気が付けばもう慣れていた。
慣れって怖いね…ちょっと前の私は飛び出しちゃうくらい未知の行為だったのに。
でも、そんな舌を絡めたキスは…気が付けばなくてはならないものに変わっていた。
「えへへ…そんな不満そうな顔をしないでよ麗奈♡…んっ♡あむ、んぁ…ぇ、んんっ♡」
「あむっ♡ん……♡ぷはっ、だって突然するんですから…!」
「でも、イヤじゃないでしょ♪」
「……ええ」
こくんっと首を小さく傾けて不満そうな顔のまま、麗奈は認める♡
ほら♪麗奈は不満そうな顔してるけど、実際は大好きだもんね?まあ…。
「麗奈って、私をめちゃくちゃにしたい方だもんね?だから不満なんでしょ?」
「そうですよ…結稀さんは私にされている時が一番可愛いんですから…大人しくめちゃくちゃにされていればいいんですっ!」
「へっ?わ、わあっ!?」
がばっと麗奈が起き上がると、その小さくて細い手が私を強引に押し倒す。
ぎしっとベッドが揺れて…痛くもないのに「いてて…」なんて呟きながら目を開けると、視界にはどーですか!と勝ち気な表情を浮かべる麗奈が私を見下ろしていた。
「ふふっ♪これですよ、これ♪」
定位置についてご機嫌な麗奈。
空気中に「♪」を跳ねらせてご機嫌な麗奈は、次の瞬間目を細めて…標的を狙うハンターみたいな表情に変わった。
ひぇっと、思わず喉が狭まる…。
「ねぇ、結稀さん…」
「は、はい!」
いつもより低い声で呼びかけられて、おもわず声がうわずっちゃう…。
ふるふると小動物の気分になった私に、麗奈はニヤッと口角を
「めちゃくちゃに…していいですか?」
瞬間。
ぞくぞくぞく〜〜って、脊髄から脳へ向かう神経回路にものすごい勢いで形容できない感覚が走り去った…。
そして、ぱちぱちぱちって視界に光が瞬くような感覚を味わうと、じゅわって私の大切な場所が……。
「へ、ゃ…うそ」
ぬ、濡れてる……。
「どうかしましたか?」
「あ、いや…なんでも、ないよ…」
きょとんと、首を傾げて尋ねてくる麗奈に、私はすかさず何でもないよと否定する。
何でもないわけないよ。
だって私、今の麗奈の姿に…キュンってきちゃって、私…!
すごく…興奮しちゃってる!
確認しなくても分かる濡れ具合に…恥ずかしさが込み上げてる。
こんなすぐ一瞬で濡れるなんて思わなかった…!だって、今までこんなことなったことなかったから!
どうしよう、どーしよー!!
私、こんなにエッチだったのかな?こんな私を見て、麗奈はドン引きしたりとかしないよね!?
不安と焦燥が私を覆って、冷や汗が溢れてくる…。
だって私見たことあるもん…性欲強い人はちょっと無理っていうの、見たことあるもん!
「結稀さん?」
「ひゃ、ひゃいっ!」
ぐーるぐると頭を回転させて考えていたら、心配そうな顔をした麗奈が私の視界を覗き込む。
にゃっ!?とびっくりして声を上げると同時に…麗奈の顔が良すぎてドキッと心臓が跳ねちゃう…!
はわ、はわわわわわっ!!
「どうしました?なにか慌てているようですが……」
「いや、その…なんでも…」
どうしよう…。
どーしよーー!
麗奈が可愛いよ、カッコいいよ!
そのせいでキュンキュンしちゃうよ!
はしたないことに、下腹部がキュンキュンと疼いて仕方がない…。
めちゃくちゃにしてほしいって身体が麗奈を求めてる!
どうしよう…本当にどうしよう!?
このまま逃げちゃったら、きっと麗奈は残念がると思う。
わ、私だって…麗奈とキスしたいよ!でも、今の私は、こんなにもはしたないから…。
「あ、あうあう…」
正直に、言った方が良いのかな?
麗奈なら受け入れてくれるかな?
ぐるぐると目を回しながら、私は考えて考えて…そして。
「…ねぇ、麗奈」
「はい」
「わ、私ね?その……」
ドキドキドキと胸を高鳴らせて、麗奈の手を取る。
そして、その手を私の下半身の方へと移動させて………。
「ごめん…麗奈、私……はしたないと思うけど……」
「濡れちゃった…」
※あとがき
なんでこうなったんだろ…と頭抱えながら書きました。
最近、どのキャラも自分の考えを通り越して一歩先を行ってる事が多い気がする…。
多分この先、性的描写が多くなると思います。
あまり性的描写は好まないよ〜!って方は申し訳ございません…。
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