七
良秀はそれから五、六か月の間、まるでお
と申しますのは何もあの男が、昼も
良秀の弟子の一人が(これもやはり、前に申した男でございますが)ある日絵の具をといておりますと、急に師匠が参りまして、
「
「さようでございますか」と一通りのあいさつをいたしました。ところが、良秀は、いつになく寂しそうな顔をして、
「ついては、己が午睡をしている間じゅう、まくらもとにすわっていてもらいたいのだが」と、遠慮がましく頼むではございませんか。弟子はいつになく、師匠が夢なぞを気にするのは、不思議だと思いましたが、それも別に造作のないことでございますから、
「よろしゅうございます」と申しますと、師匠はまだ心配そうに、
「ではすぐに奥へ来てくれ。もっともあとでほかの弟子が来ても、己の睡っている所へは入れないように」と、ためらいながら言いつけました。奥と申しますのは、あの男が画を描きます部屋で、その日も夜のように戸を立て切った中に、ぼんやりと灯をともしながら、まだ
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