六
地獄変の屛風と申しますと、私はもうあの恐ろしい画面の景色が、ありありと眼の前へ浮んでくるような気がいたします。
同じ地獄変と申しましても、良秀の描きましたのは、ほかの絵師のに比べますと、第一図取りから似ておりません。それは一
こればかりでも、ずいぶん人の目を驚かす筆勢でございますが、その上にまた、業火に焼かれて、転々と苦しんでおります罪人も、ほとんど一人として通例の地獄絵にあるものはございません。なぜかと申しますと良秀は、この多くの罪人の中に、上は
が、その中でもことに一つ目だってすさまじく見えるのは、まるで獣の
ああ、これでございます、これを描くために、あの恐ろしいできごとが起ったのでございます。またさもなければいかに良秀でも、どうしてかように
私はあの珍しい地獄変の屛風のことを申し上げますのを急いだあまりに、あるいはお話の順序を
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