四
その癖と申しますのは、
さような男でございますから、
したがって良秀がどのくらい画道でも、高く止っておりましたかは、申し上げるまでもございますまい。もっともその絵でさえ、あの男のは筆使いでも彩色でも、まるでほかの絵師とは違っておりましたから、仲の悪い絵師仲間では、山師だなどと申す評判も、だいぶあったようでございます。その連中の申しますには、
が、なにぶん前にも申し上げました通り、横紙破りな男でございますから、それがかえって良秀は大自慢で、いつぞや大殿様がご冗談に、「そのほうはとかく醜いものが好きとみえる」とおっしゃった時も、あの年に似ず赤い唇でにやりと気味悪く笑いながら、「さようでござりまする。かいなでの絵師には総じて醜いものの美しさなどと申すことは、わかろうはずがございませぬ」と、おうへいにお答え申し上げました。いかに本朝第一の絵師にもいたせ、よくも大殿様の御前へ出て、そのような高言が吐けたものでございます。先刻引合いに出しました弟子が、内々師匠に「
しかしこの良秀にさえ──このなんとも言いようのない、
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