第6話 『心内』

マシロと入浴しているとソニア一行が浴場に入ってきた。


「まるで兄妹みたいですね。それになんだかマシロも幸せそう」


「アミスもマシロと洗いっこしたい、ゲール、石鹸とって」


「貴重な資源なんだからあんまり無駄遣いしないでね、ほい」


のぼせてふらつくマシロを引っ張り上げ、アミスは泡立たタオルでマシロを磨きだした。


「今更だが、こいつら羞恥心がないのだろうか。しかし、ゲールの体はまっさきに俺を欲情させたのであった」


「勝手に代弁するな」


「え? 君が言ったんじゃないのかいw」


ゲールは悪戯好きな野球少年のような性格で正直とっつきにくい。

ここに来る道中、何度か毒蛇やサソリに襲われそうになったが、

誰よりも危険を早く察知しては得意のリボルバーで撃退してもらった。

きっと根はいい奴なのだろうか。


「ほら、あそこに伽耶がいるだろう。お盆浮かべて焼酎飲んでる。よーく見てて」


どこから出したのか水鉄砲に水を貯めて、勢いよく噴射すると焼酎瓶は勢いよく吹っ飛び、湯舟に沈んでしまった。


「......ゲール、主には特別に深紅の薔薇風呂に入れてやろう。どれ、その首こちへ向けい。打ち首にしてくれるわ」


「きゃーこわっw、腹切り侍よー」


割と本気で怒る伽耶、じゃれるゲールを尻目に大きくソニアはため息をついた。


「みんな子供ね。まったく、嫌になるわ」


「大変だな、お前も。けどよ、いいもんだよな」


「そうかしら」


「俺さ、前の世界では友達もほとんどいなくて、こうやって誰かのために行動するようなタイプじゃなかったからよ」


ソニアは少し間をあけてから肩まで湯舟に浸かり、顔を沈めてぶくぶくと泡を出している。

意外な行動に少し面を食らっているとソニアは黙って俺の頭を撫でた。


「その自己評価、全然違うと思いますよ。前の世界であなたは妹を守ったし、いまも見ず知らずのマシロを守ってる。誰でもできることじゃないわ」


人前で泣いたのは何年振りだろうか、嗚咽しながら泣き崩れる俺をソニアはそっと抱きしめた。


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