第4話 『出会』

「王宮までは遠い、夜を明かして日が出てから行動しよう。伽耶、二人の様子は?」


「男は異形な甲冑が背中に食い込んでおるな、元は全身を覆っておったやも知れん。女の方は割と無傷じゃが舌が切られておる。二人とも失神して言葉を交わす余力もないようじゃ」


伽耶は腰を伸ばしながら大きく伸びをすると、アミスの飲みかけコーヒーを一口に飲み干したものの、砂糖が入っていないことに驚いて岩壁に吐き出した。


「うぇ、アミスとゲールはまだ斥候かや?」


「ついでに野鳥を狩りに行ったわ」


ソニアは火に薪をくべながらふたりを見やる。

エルフ奴隷を解放し導くのも彼女達の使命であったが、先の異形、この鎧男と舌なしエルフ......只ならぬ事象が起こっていることだけはあきらかであった。



気絶してばかりだな俺は......。

焚き火の熱に起こされると、目の前には武者の恰好をしたエルフ--、肌が褐色だからダークエルフか?


「おう、目覚めたか人間。とりあえず今はじっとしておれ。ほれ、ソニアのまずい玉葱スープもあるぞ」


「まずいは余計よ。私はソニア。オドの揺らぎを感じ、あなた方を保護致しました。日が昇り次第、出立しますのでそれまでお休みください」


騎士風のエルフ、ソニアはスープを盛った椀をこちらに手渡すと再び焚き火に薪をくべる。


「出立? 俺たちはこれからどうなる。それにお前ら一体なんなんだ」


「道中長いのでその時にお話しします。こちらも状況が整理できておりませんので、どうか」


騎士然と頭をさげるソニアの気迫に押され、俺は口をつぐんだ。

傍らにはあの傷ついたエルフが寝息を立てている。

神様もどきが押し付けた甲冑死狂の甲冑はいまも背中に食い込んでいるようだががなかった。

徐々に奪わる感覚に俺は恐怖を感じた。







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