私は存在を消すよ!
楠嶺れい
愛あらば何も怖くない!
私はここ。あなたの
私は恋い焦がれ、
こんなに愛しているのに。
貴方には私が見えない。
今も貴方は探し続けている。この私を。いつまでも諦めず。
貴方は私を愛してくれる。
感じるの愛を!
幸せなのに見つめ合うこともできない。
貴方の眼に私は映らない。
宿命なのかしら。
私はアイリーン・キャラウェイ、魔法がとっても得意。
魔法で気配を消し隠れることが何よりも好き。
だから私は誰からも見えなくなる。
私は彼のあとを追いかける。私は彼に
誰も私の居ることに気づかない。
居ないことになってる。
夕暮れ時。
私は彼に、貴方だけに見つめてもらいたい。
愛を
もう二度と……恥ずかしいからとか、嬉しすぎて死にそうだからとか。
そんな理由で隠れたいとは……二度と願わない。
消え去りたいとは言わないから。
私をずっと見つめてほしい。
愛して!
私は今日もあきらめず魔法研究に
やがて時間魔法で巻き戻ることに成功する。
誰にも聞こえないけど笑い続け。
舞い上がって喜んだ。
巻き戻り時期を確認すると始点になるポイントは彼から見えなくなったすぐ後。
私は何をやっているのだろう。
昔から残念な人。
いえいえ、最初は失敗がつきものだ。次こそは……。
私はすぐに
私は魔力が貯まるまで彼に見てもらえるよう
魔法や聖遺物を用いて打開策を模索している。
成果はないのよね……。
何度逆行しようと始点は変わらない。
何か制約があるようで私には回避方法がわからない。
私は研究を進めていると迷宮型ダンジョンに興味を持つようになる。
ダンジョンの報酬やダンジョン核に強力な時間魔法を帯びたものが在るから。
ダンジョンでは何故か同族の人間に襲われる。
正当防衛で相手を
いろんな人と出会うたびに魔法で攻撃される。
悪人しかいないのだと理解した。
攻撃されたら仕返しよ!!
少し楽しくなった。
私は盗賊どもを舞うように
賊は
魔法のレパートリーも増える。厄災級のメテオやインフェルノ。
極限魔法はダンジョンが変形するけどやめられない。
だって花火が好きだもの。
ある日ひらめく!
魔法で
そうしよう。いいアイデア!
見えないのだからメモを残すと侍女の悪戯と誤認された。何を書いても信じない。
手法を変えてみるが、覚える気のない彼に魔法の習得は無理と悟る。
作戦は見事に瓦解した。
それではと、看過魔法の術者を魔法で拘束して彼のもとにはせ参じた。
残念無念、看過魔法はダンジョン内しか効果がないらしい。
諦めてダンジョン宝箱やダンジョン核の収集に戻る。
脱線して迷走したすえ迷路に戻る。
ダンジョンは心地いい。
私は最古の遺跡にある未踏破ダンジョンの最深部で会話できる人と出会った。
死せる大魔導士エルダーリッチの発音できない名の王様。
「冥界女王のような御方が何故このあばら家に?」
「あら、お世辞がお上手ですわね」
「いえいえ、滅相もございません。お気に障らぬよう早々に退散いたします。ところで、何かご
「時間を巻き戻り、逆行したいの10年くらい。今から8年と3か月が限界なの」
「遡行魔法……。魔王のような御技‼」
「知らないですか?」
「失礼ながら生死にかかわること……いかに魔神であっても無理にございます。
……それではこれにて失礼します。我が君!」
リッチさんは逃げるように去っていった。
お土産に大きな大きなオーブをいたただいてしまう。
いただき物に文句を言ってはいけないけれど、
私の魔力は膨れ上がり何度でも時間魔法が唱えられるようになった。
魔力は無尽蔵で好き放題に使えても壁は超えられない。
未来に行ってみた。でも成果はない。
皆が私を
私は人よ‼
私はアイリーン・キャラウェイ、魔法はレジェンドアルティメイトクラス。
魔法で存在を消し、照れ隠しで消え去ることが命よりも好き。
だから私は存在ごと消え去ったのだろう。
本当は……。
私だってちゃんと理解してる。
生きていることにしたかった。愛しい貴方に会いたいから。
それは私の諦められぬエゴ。
愛に狂った終着点。
愛とは妄信。
恋い焦がれる亡霊は今も生者に付きまとう。愛ある限り!
もはや誰が見ても
いいえ!
違うわ。
私はカワイイ死霊よ。
私は愛しい貴方のために存在を消したの(わたし既に死んでます‼)
これは愛しすぎて消えてしまった少女の物語。
愛は迷走。居場所は迷宮。
親友はリッチ。
愛あらば壁を超えられる。生きてさえいれば‼
私は存在を消すよ! 楠嶺れい @GranadaRosso
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます