第10話 協力者たち
「誰だ貴様らは!!」
異世界間通路の向こう側、扉を守るロストックの騎士たちに誰何された。
毎回これをやるのかと思うと先が思いやられるのでここは彼らを協力者にしてしまいたいところだ。
「こないだ通らせてもらった一般通過元勇者なんだが……」
流石に一週間も経ってないし忘れてるわけもないだろう。
「その出で立ちの何処が勇者だァっ!?」
あ、そうだった……。
ジャンプスーツにサイバーヘルメットの完全武装(笑)状態だったっけ。
未来的すぎるこんな格好じゃ信じて貰えるはずもない。
「あー、冒険者証確認するか?」
今回はちゃんと首からぶら下げて持ってきている。
「私のもいるかしら?」
シャリスのサイバーヘルメットは、ピンク色の耳が付いていた。
「い、いえっ!!必要ありませんっ!!」
俺の冒険者証に目を剥いた騎士は、米つきばったの如くペコペコと頭を下げた。
前回、俺たちを誰何した何人かの騎士たちは事情を知ると、頭を下げる騎士を見てゲラゲラと笑っている。
「正体がわかったところで、一つ頼みがあるんだが聞いてくれるか?」
そう切り出すと騎士たちは俺に耳目を集めた。
「国を守られた勇者様の頼みとあらば、できる限りのことは致します」
できる限り、というところがミソだがそれでも協力的だった。
「俺たちは無駄な争いを止めるために、これからちょくちょくこっちに来ると思う。そのときに毎回毎回、誰何されるのはお互い面倒だろう?だから、俺たちが来たときはそのまま通してくれ」
警備する側の彼らにとっては、無理な申し出かもしれないが……そう期待をせず答えを待つと
「また世界を救われるのですね!!」
「その覇業に我々が関われるとは光栄!!」
と盛り上がり始めた。
「協力してくれるのか……?」
「勿論ですとも!!」
「我らも人族同士の争いに思うところがありますから!!」
魔王軍相手にともに戦った人族(
事の発端は
「よかったわね」
シャリスはサイバーヘルメットのLEDの電飾で遊びながら言った。
「手間が省けて助かるな」
無駄な衝突が避けれそうで何よりだった。
◆❖◇◇❖◆
「さて、まずは情報収集からよ」
世界を救うと言っても情報不足じゃ動きようがないもんな。
そういえば情報収集と言えばうってつけの連中がいたっけな。
「そうだな。ひとまずは、兎人族の所にいくか」
獣人族の中の一種族である兎人族は、その特徴である身体の敏捷性を活かして各地で諜報活動を行っていた。
俺達もまた、魔王討伐のときには度々お世話になっていたのだ。
「確かにそれはそうだけど……女の勘が行くなって行ってるのよね」
シャリスは嫌そうな顔で言ったが、さりとて情報を集めるならやはり兎人族との接触がマストだ。
「そんなこと行ってたら何も始まらないだろ?」
この時期、兎人族はある大事なシーズンを迎えているのだが、俺はそんなことなど露も知らずにに兎人族の里を目指すのだった。
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