第11話 感想戦
反省1つ目。魔力収集は凄く難しい技なのに挑戦したこと。反省2つ目。魔法は意志に集まるものなので、強い意志を必要とする収束魔法はとてつもない威力になると知っていたのに撃ったこと。そして反省3つ目。
「……寒いぃ」
「ごめんなさい、いやマジでごめんなさい」
その魔法で相手の服を吹き飛ばしたことだ。
不幸中の幸いだが、魔法の演習のときは全員ジャージに着替えている。よってブレザー、シャツ、ネクタイにスラックスなんかの制服を吹き飛ばすよりは被害額が安価だ。下着までは吹き飛ばしていなかったのもまだマシだったことの一つだ。
先生達が何事かと駆け寄ってくる。そうだ、被害額なんか気にしないで、まずはそこで震えている彼をどうにかするのが先じゃないのか。そう自分自身に言い聞かせ、夕樹は先生に事情を語った。八神先生が眉根を寄せ、深く溜息をついた。
「ええと、それは、本当に災難でしたね……?」
「災難です! そこ、疑問形じゃないですよぉ!」
碧は八神先生に渡された毛布をぎゅっと硬く身体に巻き付けた。毛布を押さえつける手がぷるぷると小刻みに震えている。
「そうですね、替えのジャージは後で支給します。ですが、今は……どうしましょう」
悩ましげに、顎に手を当て思案する先生の所へ秋夜がやってきた。事情をいくつか尋ねてから、納得したように頷いて言った。
「それじゃあ、僕のを貸しますよ。長袖なら着てませんから」
そう言って彼が校舎へ取りに戻るのを眺めていると、隣の碧が呟いた。
「彼、俺の次の対戦相手の神崎さんだよね? 優しい人だなぁ」
ああ、優しいといいな、と夕樹はこころの中で呟いた。
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