二窓
「よし、魔法を手にしたぞ!」
消費は10。152あるから15回は使える。
たった15回と思うか、15回も使えると思うかだな。
アルフレッドは早速ターゲットに狙って魔法を発動させる。
1秒、2秒。3秒から4秒の合間くらいで発動する。
剣を振りかぶるモーションをすると、遠い場所に炎が爆発した。
魔法は敵をターゲットにすると、相手が動いても当たる仕組み。
これは良いスキルを手に入れたぞ、とアルフレッドは森の奥に進む。
しかし、ここで予想外のことが起きた。
盗賊が横合いから切り込んできたのだ。
アルフレッドはすぐさま魔法を発動するが、先に攻撃されて詠唱を邪魔されてしまう。
受けるダメージは1なので大したダメージではないが、攻撃される度に体がのけ反るので詠唱が満足にできないのだ。
何とか盗賊を剣で追い払うと、やはり砂金袋を落とした。
5gと少ないが、これの価値がわからない。
アルフレッドはアイテム欄を埋めるその謎のアイテムを不思議に思いながら数を増やしていく。
魔法は敵との距離を十分に取ってから発動が好ましい。
「居た! 緑色のゼリー!」
石を壊したらワラワラ出てくる。
森の浅い場所ならトゲネズミが出たが、ここでは草色ゼリーが出るみたいだ。
草属性なら火属性のバムが効くはずだ。
「1、2、3……フレム!」
十分に敵と距離を取り、魔法を詠唱して発動。
すると草色ゼリーは一撃で弾け飛んだ。
すごい、一発で倒せたぞと喜ぶアルフレッド。
調子に乗って全ての草色ゼリーを倒していくと、SP切れを起こしてしまった。
「ありゃ、SP切れだ。座って自己回復。1回分貯まったら攻撃しよう」
ヘルワームや盗賊と違い、草色ゼリーはこちらから攻撃しなければ攻撃してこない。だから座る余裕がある。
こういう仕様は有り難いなとSPを回復させながら草色ゼリーを倒しまくるアルフレッド。
気がつけばレベルは15へと上がっていた。
INTを上げるとSPが上がる。
次の魔法はINTが40、SPDが20必要だった。
まずはINTに振ってSPを確保しよう。
唯一のスキルが魔法だけなので、魔法に頼ってしまうのは仕方ない。
素材が集まったので街に帰り、防具屋で装備を作ろうとした時にポロが足りないことに気がついた。
何か売れるものでもないかと考えていると、砂金袋が思い浮かぶ。
そして売りたいアイテムに砂金袋を入れたら……
「え、すごっ」
砂金袋5gの売値は5000ポロだったのだ。
何と初期資金額と同等の金額が、袋の数だけ手に入ってしまう。
数は20個。
たった数時間で10万ポロもの金額を手に入れてしまった。
「チョコットアイランド……ハッピーベジタブルの上位互換なだけはある。稼げるゲーム内通貨は数倍か!」
新しく作った盾は甲殻の盾(防御力+30)。
課金盾の1/3程度でしかないが、素材を集めるだけでこの装備ができるっていうのは面白い。
「他には~、っと。今の装備じゃ見えないか。と、いつまでも初期装備の体装備じゃあれだな。魔法スキル向きの装備を作ってしまおうか」
盾を通じて装備を作れることに気がついたアルフレッド。
体装備や腕装備、足装備にようやく目を向けた。
課金装備にその項目はなかったので、作る事にした。
素材は草原~森近辺で取れそうだ。
その日のうちに素材を集めるアルフレッド。
そこで一つの壁にぶち当たる。
「アイテムボックスの容量が少ない……」
あれもこれも作ろうとしたら必要になる素材が多くなるのは必然。特に今回は三種類一気に作ろうとした。
一種類につき三種類。
それを3個で9種類。
そこに薬品や見つけ次第拾ってる砂金袋を見つけ次第入れてるので、最大所持枠15個ではすぐに埋まってしまう。
「薬品は捨てて座ってやり過ごすか? でも盗賊が出たら厄介だし。でも砂金袋は欲しいしなぁ。課金で何とかできないかな?」
そこで倉庫なる場所を見つけた。
何と不要なアイテムを預けて置ける場所だそうだ。
今は使わない甲殻の盾を預け、作る予定の装備の素材を端に寄せて……それでも枠が心許ない。
特にこのゲーム、所持アイテムが上限に達するとアイテムを拾えなくなるのだ。
結局ゲーム内では課金する場所が見つからずにチョコットアイランドからログアウト。
ホーム画面に戻ると……
「あ、表の方に課金ショップがあるんじゃん! もー、不親切だなぁ」
ハッピーベジタブルではゲーム内からでも課金ができた。
しかしチョコットアイランドではゲームを始める前に課金をする必要があった。
「お、キャラスロットも買えるんだ。購入っと」
一番最初に魔法キャラを作ってしまった為、違うスキルも欲しくなってしまったアルフレッド。勢いに任せて最大枠の五枠購入してしまう。
相変わらず後先を考えない購入方である。
取り出したポロで今のアルフレッドには¥100,000もの所持金があった。
だからいつになく強気の購入をしてしまう。
すると、ピロリロリン♪ と頭の中が響いた。
どうやらチョコットアイランドに課金しすぎてサイトレベルが上がったようだ。
そこでアルフレッドはスキル欄に見慣れぬものを見つけた。
「二窓? 何だこれ」
ぽちぽちとその場所をタップすると、
<スキル:二窓を扱うにはPCスペックが足りません>
¥100,000をサイトに課金してPCスペックを上げますか?
ちょうど手元に¥100,000と少しある。
チョコットアイランドなら直ぐに元では取れるだろう。
アルフレッドはそう考えてPCスペックを上昇させた。
『スキル:二窓』
ゲームログイン中、小さな窓でもう一つのゲームに追加ログインが可能。
「あ、これすごい便利! つまり冒険中にも畑のお世話とスープの充填ができるのか。あっ、僕の『取り出す』なら直接ハッピーベジタブルのアイテムをチョコットアイランドで使えたり?」
夢が広がるアルフレッド。
食事をしながら冒険もできる。引きこもりのニートに与えてはいけない特権だった。
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