ライバルと空き時間の有効利用

課金アイテムも充実した事で、アルフレッドの暮らしはまた別の楽しみを見出していた。


最初こそは自分が生き延びるためのハッピーベジタブルも、遂にはスープを用意してくれるフレンドさんの出会いを通じて充実したものになる。


ただ新しく増えたフレンドさんは、新たにアルフレッドに高みを教えてくれていた。


かなりの高レベルなのだろう。

それとも他のレベルが高いのか?

ハッピーベジタブルで遊んで一ヶ月くらいになるアルフレッド。

そのアルフレッドでさえ成長速度で遅れをとる上位フレンドを前に、負けられないと言う気持ちになっていた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <アルの農園>

 農園  :LV3

 スープ :LV2

 シェフ :LV2

 フレンド:10人

 畑   :12/12

 <まほう :490/30>

 ▼農園内時間加速

 30分【1】

 2時間【3】

 4時間【5】

 12時間【10】

 24時間【15】

 <所持品>

 トマト、ニンジン、タマネギ、ナス、カブ、ジャガイモ

 コムギ、トウモロコシ、オオムギ、リンゴ、メロン

 カボチャ

 <お散歩アイテム>

 なずな、清水

 <スープ:5/5>

 ◎トマトスープ   _ 100G_9

 ◎ホワイトシチュー _1500G_2

 ◎アップルタイザー _2000G_1

 ◎ビール      _2000G_1

 ◎メロンシェイク  _3000G_1

 <フード:5/5>

 ★フライドポテト  _ 100G_5

 ★マッシュポテト  _ 200G_3

 ★コロッケ     _ 300G_2

 ★野菜コロッケ   _ 500G_3

 ★アップルパイ   _1200G_1

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <購入可能アイテム:5100G>

 ホウレンソウ    70G

 オクラ       80G

 オオムギ    1000G

 バナナ      800G

 カボチャ    1500G

 サトイモ    1500G

 スイカ     1500G

 タケノコ    5000G

 モモ     10000G

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <課金アイテム/所持金:¥0>

 豊穣のシャベル   _¥300(収穫量二倍7日)

 祝福のジョウロ   _¥300(グレード+1/7日)

 自動お世話チケット _¥500(7日)

           _¥800(14日)

 まほう回復チケット _¥500(+300)

           _¥800(+500)

 ようせい像(銀)  _¥500(まほう全体化30分)

      (金)  _¥800(まほう全体化60分)

 ベジガチャ豪華版1回_¥300(豪華賞品当たるかな?)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 <ベジタブルガチャ:520/100P>

 まわした回数:          3回

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



このステータスを見てわかる事がある。

農園レベルが上がって購入できる作物が増えたなんて当たり前のことではない。


一向に増える様子を見せなかったベジポイントが520にまで増えている事である。


このベジポイント、飲んだスープ、フードの売り上げの1/10がもらえる仕組みなのだが、新しいフレンドさんの店に並ぶのがまぁまぁ高級品ばかりだった。


そのラインナップの多さに一番低いスープばかり飲んでいたアルフレッドだが、飲みにきてくれた時に残してくれた書き込みに従い、同価格帯のスープ、またはフードを頂くことにした。


なので今アルフレッドが密かに燃えてるのは、新しくできたフレンドさんに早く追いつくことであった。


ベジタブルガチャは回さないのかと言う疑問は、回したけど大したものは入ってなかったとだけ記しておく。


農園を飾るアイテムが主流だ。俗にいうデコレーション。

カラフルな柵やようせいを模した人形を置く事で農園を華やかにするのが狙いだ。


デコランクが高いほど解放される作物もある様で、現状ではどう足掻いてもフレンドさんには敵わないので無駄な努力はやめている。


うちの農園はこれで良いんだ。

畑にスープバー、実にシンプルだ。



「しかしこのエレクトって人、何者だろう?」



疑問に思う。

アルフレッドしかログインできない『ゲーム』にログインして、アバターまで確立させている。

もしかして男の記憶の世界の住人が迷い込んできている?


なんて思いながら、すぐにどうでも良いかと考え直す。

ライバルが増えるのは良いことだ。


ライバルは常に早く生まれた兄だった。

兄は優秀なアルフレッドと違い凡俗で小物。

すぐにアルフレッドの意識から消えて外の世界を見つめていたのを思い出す。


外の世界の大人の方がアルフレッドを刺激してくれる。

そう思っていた時に足を掬われてここに押し込められたのである。

人生とはなんとままならぬものか。



「でも今は、新しいライバルの登場を喜ぼう」



アルフレッドにとって、この離宮暮らしが最後の砦。

ここで生き、ここで死ぬと決められた。

ならばそれに従うのが貴族に生まれたものの矜持として飲み込んでいた。


そして新たに出てきたフルーツ系で迎え撃つつもりだった。

が、案の定。問題が浮かび上がる。



「収穫時間3日なんだよなぁ」



フルーツ系はとにかく時間がかかった。

まほうで時間を加速させても、24時間を6回使う必要が出てくる。

トータル45の消費だ。

ようせい像の買い足しが急務だが、一度課金画面をひらけばあれもこれも欲しくなってしまう。


前回大儲けした豪華版ガチャは大当たりだったことを知ったアルフレッドは、もうガチャに¥を溶かさないと誓ったばかりであった。



「そう言えば、他のゲームは遊べるようになってないんだろうか?」



そこで思いついたのが別ゲームでの時間潰しだ。

別ゲームに勤しんでる間はアイテムの自動お世話チケットを消費すれば良い。

沼ったおかげでたくさん持ってるアルフレッドは、新たなリフレッシュ先を求めてハッピーベジタブルからログアウトした。


ゲームのタイトル画面に戻ってくると、マップが広がっていることに気がつく。

ハッピーベジタブルに結構課金した影響だろうか?

アバターレベルが2に上がっていた。

遊べるゲーム欄が二つまで可能になっていた。

そこで新しく見つけた暇つぶしゲームは。



「お、これなんて良い暇つぶしになるんじゃないか?」



◆チョコットアイランド。

右斜目見下ろし方マップで、中心に主人公を置いたMORPG。

要は冒険者となったプレイヤーがモンスターを倒して、資金を整え、新しい環境に挑む冒険活劇ものだった。


今のアルフレッドは特にこうしたモノに飢えている。


手持ちは¥5100。

そして解放に¥3000を提示されていた。

課金することで上がったレベル。

当然解放にも課金が付きまとう。


高い、がすでに農作業に飽きつつあるアルフレッドが迷うことはなかった。

超えたいライバルは居るものの、それだけに向き合える精神構造は持ち合わせていないアルフレッド。


気がつけば所持金は¥2100に減っており、新しく遊べる項目に◆チョコットアイランドが増えていた。


アルフレッドの知ってる外の世界に酷似した冒険世界。

もし外に追放されたとしたら、冒険者になると言う道もあったが、それすらも閉ざされたアルフレッドに、そのゲームはとても眩しく思えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る