ジャガイモの可能性

あらゆる作物を育てているアルフレッドの前に、みたことのない表示がポップアップする。


なんだろうとステータスをよく見てまわれば、農園レベルが上がっていた。


あれから何回も飲んでくれているフレンドさんのお陰で資金は潤沢だ。


何故か他のスープには一切興味を示さないのは不思議だったが、もしかしたら好き嫌いがあるのかもしれないと頭をひねる。


作り手のアルフレッドからしても贅沢とは程遠い食事だが、タダ飲みしていってるフレンドにはいくつか言いたい事があったのも本当だ。


しかし潤沢な資金でも、追加された作物を見て目玉が飛び出るほどの驚きに包まれるアルフレッド。


欲してやまなかった追加の開墾地が値上がりしていたのだ。


そして作物も、びっくりするほどの値上げっぷりである。

価格高騰なんて生優しいものではなかった。



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 <アルの農園>

 農園  :LV2

 スープ :LV1

 シェフ :LV1

 フレンド: 1人

 畑   :4/8

 <まほう :20/20>

 ▼農園内時間加速

 30分【1】

 2時間【3】

 4時間【5】

 12時間【10】

 24時間【15】

 <所持品>

 トマト、ニンジン、タマネギ、ナス、カブ

 <スープ:4/4>

 ◎キャロットジュース_ 70G_9

 ◎トマトジュース  _ 90G_9

 ◎トマトスープ   _100G_9

 ◎オニオンスープ  _150G_9

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 <購入可能アイテム/所持金:440G>

 開墾        30Gnew!

 ホウレンソウ    70Gnew!

 オクラ       80Gnew!

 ジャガイモ    100Gnew!

 トウモロコシ   300Gnew!

 コムギ      800Gnew!

 オオムギ    1000Gnew!

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 <課金アイテム/所持金:¥0>

 豊穣のシャベル   _¥300(収穫量二倍7日)

 祝福のジョウロ   _¥300(グレード+1/7日)

 自動お世話チケット _¥500(7日)

 まほう回復チケット _¥500(+300)

 ようせい像(金)  _¥500(まほう全体化30分)

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 <ベジタブルガチャ:0/100P>

 まわした回数        0回

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まずは多少値上がりしたが背に腹は変えられない開墾地を購入。

これでやる事が増えた。


気になっている食材がないと言えば嘘になる。

コムギとジャガイモだ。

だが想像以上にお高いコムギに泣く泣く購入を諦める。

代わりにジャガイモを購入して植えた。


ジャガイモで思い出される料理はポテトだ。

肉料理の付け合わせに、細く切って揚げたポテトがアルフレッドの好物の一つ。


カリカリの揚げたても良いが、湿気ってふにゃりとしたものも好みだ。そもそも油も何もないが、腹持ちが期待できると言う意味ではこのスープ生活の中核をなす存在とも言えた。



一つ、問題点を挙げるとするならば……



「収穫時間は8時間か」



安めのジャガイモですらこれ。肝心の魔法もすぐ枯渇しかねない。

トマトの10分が嘘みたいだ。

コムギは一体どれくらいの時間を要するのか今から怖い。

そしてそれを超えるオオムギは?


そもそも野菜を育てるのが簡単すぎるゲームなのにこの拘束時間は少し厳しい気さえしてくる。


そこで画面の一部にやたらアピールしてくる場所があった。

右上にいる謎に生物だ。

普段まほうで世話してもらってるようせい。

収穫が長い時はまほうでちょちょいと収穫時間を短縮したものだ。


今回のジャガイモのスープ、またはポテトフライを食べるのに一体何個要求されるかわからない以上、まほうの使いすぎは避けたい。

まほうは一つの畑にしか効果がないのだ。


ランクCからAに上昇させるのに二回のパーフェクトお世話収穫が必要だ。

Aランクを三個作るだけで全てのまほうを使い切る計算に、アルフレッドは恐れ慄く。


しかしそれとは別に見慣れぬ機能がついてる事に気がつく。

LVが2になったことで増えたその機能。お散歩だ。



「なになに? ようせいにお散歩させて特殊材料をゲットしよう? Gで買えるものとは違う素材が手に入るのか。じゃあ行かない手はないよね」



アルフレッドにとって男の知識は非常に心躍らされた。

知らない知識を知れると言うのは生活する上で大きなことだが、同時に知りすぎる事で余計な敵を作りかねない。



「まぁ、大丈夫か。どうせ僕はここから出されないだろうし。お兄様もお父様も僕への興味がないものな」



すぐに深く考えるのをやめ、妖精にお散歩をさせた。

帰宅するのに三時間か。

それは本当に散歩なのかと突っ込んだのは内緒である。



「あ、ジャガイモ収穫出来るね。よしよし」



待ってみたら長いものの、他の収穫の合間に見ていたらすぐに時間が来た。

CランクからBランク、Aランクに上げるまでに地味に一日消費する。


他にやる事がないから良いものの、ジャガイモでできるスープだけが気になって執念で作り上げた。


そして解放されたレシピは……



「お、これは予想外」



スープの他にフードもあった。

予想はしてたがこうも簡単に手に入るものかと感心したが、出来上がるまでの時間を考えたらコスパは最悪だった。



<フード>

★フライドポテト_100G

┗ジャガイモ×3


★マッシュポテト_200G

┗ジャガイモ×4


<スープ>

★ポタージュスープ_300G

┗ジャガイモ×5



「まぁ、フレンドさんはトマトしか飲まないから当分は主食として……」



言いかけて、アルフレッドは口に入れた淡白な味わいにすぐに飽きそうだなと思った。

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