ホーラ・エト・コロル
陽炎立ち大輪始咲
「令和ちゃん」なる女神のおかげで、日本では去年梅雨と秋が来なかったらしい。今年も暑いからか、
「こらまた、綺麗に咲いてるなぁ。」
最近教会に来始めた娘に誘われ、向日葵畑にやってきた。クレヨンのような黄色と、大輪の花が、陽射しの奥の瞳のように見下ろしてくる。
「神父さま、ここの花、900本以上あるんですって。」
「ほー。」
「少し入って見ませんか? 写真撮影OKなんですよ。」
頬を赤らめながら言う娘の首には、叩くと冷える襟巻が巻かれている。伊達に1700年、人を見てはいない。人の想いのように感じることは出来なくても、察して考え、対処すべき方法も分かる。
「そうか、じゃあ入ろう。向日葵の背が高いから、逸れるなよ。」
「あ、そしたら、裾、裾持たせてください。」
「おいおい、力が出ていっちまうぞ。」
「そうしたら、私の生理痛軽くなりますか?」
「いや、『長血』ってそういうんじゃないから。」
孤独な年頃の子どもは、傷ついた心を癒してくれたその人を愛する。
一面の向日葵畑に連れてきたのは、娘なりの「
ただ、彼女は「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます