リングア
第一声 ペイル・ブルードット
それは、人類が『時間』を理解した時に、垣間見た、神からのメッセージであった、と、彼は語った。
光よりも早く、遠くを見る望遠鏡を開発した研究チームには、世界の頭脳が集まっていた。良くも、悪くも、彼らは変態ばかり。恐ろしいまでに高度に発達した科学は、魔法を通り越して、神の所業なのである。
『神々』は、だからこそ神の存在を信じていたし、世に蔓延る問題に、興味を持たなかった。彼らの神は、社会に目を向けよ、と、言っているが、『神々』にとって、社会とは、限りある個々の生命ではなく、個々の生命の流転による歴史だったからである。
それは、ある者には創世記の光を思わせ、ある者には乳海撹拌の渦を思わせ、ある者には女神の死体を思い起こさせた。
それぞれがそれぞれの信じる、世界の成り立ちに触れた喜びに抱き合っている中、彼は、じっと望遠鏡の中の『それ』をもう一度見て、呟いた。
彼には、神話だとかそんな大仰のものではなく、もっと懐かしいものに見えていた。
「綺麗な花火……。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます