四枚目 破滅に至る道でも

 先程書いた破門状の写しを見下ろす。外には、兄の遠い妹―人間的に言うなら、自分の従妹にあたるらしいが、破門状を見せた小学生を喜び、数人の子供たちとハグを交わして、帰路についていた。

 少女は、長らく自分のところの信者なかまだったが、両親の離婚を機に、どうも鉄砲玉と労力として、別の親戚に、うまいこと丸め込まれたらしい。先祖代々自分の仲間だったので、破門状がないと組織が信用してくれない、と、言われた時は、目眩がした。しかし少女は、母親にこれ以上懲らしめられたくないから、証拠が欲しい、と、しきりに言ったので、仕方なく破門状を書いた。

「ねえ、ペンテコステ。今にも死にそうな老人が、「真夜中にどうしてもラーメンが食べたい」と言ったとします。どうすべきでありますか?」

 炊き出しの手伝いで来ていた、兄を睨む。今回の発端になった娘は、兄の直系の妹なのだ。教派的特徴いちぞくでこそないものの。ペンテコステが問いかけに答えると、兄は心底悲しそうに答えた。

「精神的Q.O.Lを優先させてやるのも、自分達信仰の懐は試されているんですよ。」

 ―――兄は、少なくとも自分の妹が、「破壊的カルト」と呼ばれていることに、思うところがあったようだ。

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