ピクツラ

一枚目 全てのモノと、友達に

「『幸いなるかな、心の貧しい者』…。…おや? ローマンさ―――、…誰ですか?」

 いつものように、私が畑の豆をほじりに来た雀に説教を始めようとした時、その方はいらっしゃいました。

 初めはローマン様と見間違えたキリストかと思いましたが、直ぐに違うとわかりました。その方は、だったからです。

「こんにちは、フランシスコ。お前が息子の言っていた、かみを伝えている男かな。」

 私は即座に反論しました。

「はじめまして、こんにちは。お言葉ですが、神に創られたという共通点さえあれば、皆友達のはずです。」

「そうか。世の中には氷だけで出来てる浮かぶ大陸、空ではなく海を飛ぶ鳥、黒人エチオピアじんよりも劣る白人にんげん、イエス・キリストを崇めないがいるが、彼らとも?」

「勿論です。」

 私がそう言うと、その方は微笑んで言いました。

「なら、彼らのところに会いに行かせてあげよう。―――本当に、友になれるのなら。明日、迎えに来るよ。特別な船でね。」

 こんな陸地の真ん中に、ノアの方舟でも持ってくるのでしょうか。

と、友達になってあげてよ。」

 そう言って、その方と雀は、いつの間にかいなくなっていました。

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