戦滅兵器コアラ02～ディストピアにもラブコメの花は咲く～

第24話 俺の想い

「京太さんは、こんなナナオのことを、どう思っていますか？」

　頬を染め、澄んだ空色の瞳を潤ませて……

　そんなナナオのことを、ひとりの女の子として可愛いとは思っている。

　だが、これが――この『好き』が『恋』なのかと聞かれたら、おそらく答えは――

「……ごめん、ナナオ。俺は多分、ドクターのことが好きなんだ……」

「……やっぱり」

「ナナオに告白されてわかった。ナナオが俺にぶつけてくれたその気持ちが、『恋』で『愛』なんだって。ビリビリするくらいに肌から伝わったよ。その辺の感情が欠落している俺でもわかるくらいに、ナナオが真剣なんだってことも」

「京太さん……」

「ありがとう、ナナオ。こんな俺を愛してくれて。俺も、ナナオのことが好きだよ。でも、俺は決めたんだ。ドクターが目を覚ましたら、俺はドクターに告白をする」

「……！」

「ドクターはきっと、誰か一人を愛するなんてことはしない人だと思う。でも、この世で唯一『愛』をきちんと知っている人間なんだ。俺は、この想いを受け止めて、ドクターに愛して欲しいと思っている。俺にとっての『運命の人』は、あの人なんだ。だから、早く……」

　――目を覚まして。

　――目覚めないで。

　拮抗するふたりの想いは伝播して、場に沈黙を齎した。

　その沈黙を、ナナオが崩す。

「……目、覚めるといいですね。ドクター」

「……！」

　大切な人の願いを応援する――それもまた、『愛』だと思うから。

　ナナオは、零れる涙を見せないように、その場を駆けだした。

　隣で一部始終を見ていたかぐや姫も、京太の想いを感じ取って、静かに涙を流したのだった。

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