戦滅兵器コアラ02～ディストピアにもラブコメの花は咲く～

第23話 あなたが好きです

「……キス、してくださいませんか？」

「へ！？」

「キスです。恋人同士が愛を確かめあうという、アレ……」

「アレ……」

（というか俺、いつこの子と恋人同士になったっけ……？）

「まぁ、協力してもらうんだし、口をつけるくらいしてあげてもいいか……？」

「ほんとですの！！　わぁい！！」

　華奢な両肩掴んで、顔を寄せる。目を瞑って胸を高鳴らせるかぐや姫が愛らしくて、思わず微笑んでしまう。

　すると、その愛らしい横っ面に割って入るように、ピンク髪のツインテール……ナナオが疾走してきた。

「ちょぉっと待ったぁぁああああ！！」

「あ。ナナオ」

「『あ。ナナオ』じゃないですよ！　なに普通にキスしようとしちゃってるんですか！？　キスって意味わかってます！？」

「ああ。恋人同士で愛を確かめ合うっていうアレ……」

「丸っきり鵜呑みじゃないですか！？　あああ！　そういえば京太さんはその辺の知識よちよちのコアラ組でしたねぇ！！」

「そういうナナオもコアラ組じゃん？」

「なっ――！　そ、そもそもお二人は恋人同士じゃないですよ！！　適当にキスして『存在しない愛』を確かめ合わないでくださいねぇっ！！　はい、離れた離れた！！」

「なんなんですの、このお邪魔虫ぃ～～～～！！！！　あなた、どうしてそこまでして私達の逢瀬を邪魔するんですの！？　京太さんの『運命の人』でもないくせに、いったい何の権利があって――！」

　真っ赤になってぷんすこ憤慨するかぐや姫との間に入り、ナナオは声を張り上げた。

「それは――ナナオが、京太さんのことが好きだからですよっ！！！！」

「「！！」」

「あ～も～！　言っちゃった！　でも、京太さんはここまでしないとわからない人ですよねぇっ！？　私は、京太さんのことが好きなんです！　馬鹿みたいに毎日あなたのことを考えちゃうくらい、あなたの一挙一動でＳＡＮ値インカムがアラートを出して、心乱されちゃうくらいに大好きなんですよぉっ……！！」

「ナナオ……」

「あ。言っておきますけど、この『好き』は、京太さんが私に向ける『好き』とは違いますからね。京太さんが、ココミ姉に代わって私のことを妹みたいに可愛がって心配してくれているのは知っています。それも一種の『好き』なんです。でも、私の『好き』は、あなたと恋人同士になって結ばれたいという、『好き！！』です！！　私にとっての『運命の人』は、あなたなんですよ、京太さん！！！！」

　一息に言い切ると、すっと胸の張れた心地がする。

　たとえ答えがイエスでもノーでも、後悔だけは絶対にしない。

　ナナオは、京太の目を見て返答を待った。

「京太さんは、こんなナナオのことを、どう思っていますか？」

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