十 「霊感のある友達」 オカルト同好会

 私には霊感がある友達がいます。

 霊感がある、というのも、その友達から話を聞いたことで、私の中の霊に対する考え方が変わったからです。

 小学生の頃からの付き合いで、変わった子だとは思っていました。

 霊が見えると教えてくれたのは中学の頃です。

 高校生になってからしばらく経ったある日、心霊番組の特集をテレビでやっていたのを見た私は、別の高校に行っていたその友達に連絡を取って、その心霊番組の感想を聞いてみました。

 彼女から、せっかくだから食事でもしながらと誘われ、その週の日曜に、ファストフード店で待ち合わせをしました。

 久々に会った彼女は、中学の時からあまり変わっていなく、静謐な雰囲気を讃えて、とても綺麗なままでした。


 以下、地の文が私、カッコ内が友人です。


 あの心霊番組の映像って本物なの?

「映像をとおしてだと正直わからないかな。でも、はっきり偽物だっていうのはいくつかわかったよ。」


 幽霊ってどんな時に見るの?

「いつでもいるよ。街中でたくさん、普通に歩いてる。」

 え、こ、この店にもいる?

「建物の中にはあまり入ってこないよ。その建物の中で死んだ人とかはたまにいるけど、外から中に来るのは稀。そういうのは悪意のあるヤツ。」


 レイコ(仮名)にはどんな風に見えてるの?

「普通だよ、その辺の人と変わらない。」


 はっきり見えるの?透けてるとか、足がないとか。

「そんなのはないよ。だって、足だけないとか、普通に考えて変でしょう?足を無くして死んだわけじゃないんだから、普通に足はある。うっすら見えるとか、透けて見えるとかってのも私にはよくわからない。私は、見えるか見えないかは、ゼロか100だと思ってる。」


 じゃあさ、どうやって見分けてるの?

「影ができない。」

 ああ、足元を見たらわかるんだ。

「いや、地面の影だけじゃないよ。顔の凹凸とか、首の下とか、あらゆる影がないんだ。考えたら当然じゃない?太陽とかライトの光なんて当たらないんだから、どこにも影なんてできるわけないの。だから、霊は顔を見たらわかる。顔の陰影がないと、人間味がないよ。」


服とかは着てるの?

「着てるのも、裸のもいるよ。多分だけど、基本は死んだ時の格好が多いかな。でも、これも多分だけど、その人が一番思い入れがある服を着てるんだろうなってのも結構いる。ウェディングドレス着てるのとか、スーツとかはよく見かける。」


 悪霊っているの?

「いる。」

 何が違うの?

「いわゆる悪霊は、何かを探すようにずっとキョロキョロキョロキョロしてる。何かを探してるヤツは、大体がいわゆる悪霊だと思う。わかりやすいのだと、事故に遭った時の身体のままとか、殺された時の身体のままでキョロキョロしているやつは、多分自分を殺したヤツを探してる。あとは、人のカタチだけは保ってるけど全身が真っ黒いヤツとか。」

 真っ黒・・・影じゃないのよね?

「うん、影じゃない。本当に真っ黒だからすぐにわかる。そこだけポッカリ穴が空いてるみたいに見える。」


 その悪霊って、何をしたいの?

「それぞれかな。自分を殺したヤツを探してたり、生きてる人間全員に逆恨みしてたり。色んな家を回ってるヤツが一番危ない。」

 え?いろんな家を回ってる?

「うん、目に入った家をしらみつぶしに出入りしてる。」

 み、見境なくってこと?

「そう。さっきも行ったとおり、建物に入っていくヤツは、大抵が危ない。」


「あなたの家にも行くかもしれない。もし、見えてしまった時には、目を合わせないで、絶対に。」

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