第4話 【調査報告12~焦げたダイヤモンド~】

 私はしばしの休息を終え、遺跡探検を再開した。この辺りは天井に穴が開いているのか、時折、日差しが差していた。遺跡の中は冷えるため、日光の自然な暖かさを感じて嬉しかった。その日光が成長させたのか多少の雑草も生えていた。こんな遺跡の中で生えるとは、自然の力は偉大だ。そう言っているうちに、またしても大人が立つことの出来る広さがある空間が現れた。探検開始してすぐに発見した“巨人の爪痕”と同様のものがここでも見受けられた。ここではその反対側が塞がれていたが、よく調べてみると、一度開いた穴が落盤により埋まったような跡があった。やはり、巨人が開けた穴なのか。それにしても、巨人は何と戦っていたのだろうか。こんな森の奥深くに人間がいたとは考えにくい。そうなると、食料となる動物を狩ろうとしていたのかもしれない。そう考えていたとき、私は壁に焦げたような跡を発見した。私はその焦げた部分を崩さないように壁を削り取る作業を開始した。焦げた部分を持ち帰り、分析するためである。私は慎重かつ大胆に壁を削り取っていった。そして、削り始めて1時間程で、焦げた部分を壁から取ることができた。後に、これを持ち帰って分析した結果、焦げた部分はダイヤモンドであることが分かった。私はこれを“焦げたダイヤモンド”と名付け、大切に保管することにした。調べたところ、ダイヤモンドは燃えやすい性質があるという。600℃で黒くなり、800℃で燃え始める。ということは、それだけの熱が遺跡の中で放出されたことになる。ますます謎が深まっていくこの遺跡の奥へと進む私の足は止まることはなかった。

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