第3話 【調査報告1~巨大な爪痕~】

 古代遺跡の場所を特定するのは簡単だった。あの客が何故帰って来ない探検家の話を話せたのか。それは、その探検家に同行した人物がいて、その人物は無事に帰ってきているということだ。それは客がでたらめな話をしていなければ確実な事である。幸いな事に、同行したという人物はすぐに見つかった。その人物に聞き、古代遺跡の場所とそこで起こった出来事が判明した。私が古代遺跡に向かうと言うと、その人物は恐怖による戦慄で満ちた顔になった。それを見て、私は古代遺跡への興味が強くなった。私は万全の準備を施した。探検に欠かせない道具類は勿論、2週間程度を生き延びる食糧を詰め込んだ鞄を背負い、私は出発した。地図を見ながら、目印を付けた地点に進む。森の茂った木々をかき分けたり、川の石を飛び越えたり、険しい道のりだった。何時間も歩いてきた森の奥深くに古代遺跡はあった。私は一つ深呼吸をした後、古代遺跡へと足を踏み入れた。遺跡の入り口にある梯子を下り終えると、子供がやっと通れる大きさの穴があった。私は屈んで、その穴の中を進んだ。しばらく狭い道が続き、私の足が限界に達し始めた頃、急に視界が開けた。突如現れたその空間は、大人でも立つことの出来る広さがあった。今通って来た穴から見て左側に抉られたような大きな穴が開いていた。今通って来た穴から見て右側、つまり大きな穴の反対側に何かで引っ掻いたような三本の跡があった。抉られた穴と引っ掻いた跡、この二つから考えられるのは、巨人が何かと戦う最中に、出来た空間なのではないかと私は推測する。しかし、私は今までで巨人と遭遇したことがないため、これは単なる推測に過ぎない。それでも、私はこの推測に根拠のない自信があるため、この空間を“巨人の爪痕”と名付ける。私は独りでに楽しくなった。さらに、遺跡の奥地へと進むため、大きな穴へ入った。

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