第10話 鴨井葛葉 0


 姿見に写す自らを抱擁し、卑しくも慾し溺れ懇願す。

 

 文に認め土に埋める。古のまじないだった。両手足の爪を切り和紙に包み小箱に封をし龍の髭で結ぶ。この身が朽ちても貴方様に逢いたかった。結ばれずとも記憶に残り香を届けたいと願った。


 大岩に横たわり宵待つ。静寂に獣の声が響く山奥。貴方は月光に導かれ、私を見つけて下さった。


「有難うございます」








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