第6話 明の嘘。

オレは…あきのお腹の中の赤ちゃんを育てるつもりだった。


だが、あきの口から出たのは、再婚する気は無い。との事だった。

『どうして?!』


俺は問う。あきが切なそうな表情を浮かべながら、

話し出す。その話は…頭をハンマーで殴られた程にショックだった。



『実は……風俗もしてるの。』





(マジかよ?)

『俺との関係はウソかよ!?』


あきは下を向いて、それ以上何も語らなかった。




そして……あきは…

オレの前から去っていった。



お腹の赤ちゃんは、

1人で育てるのかよ。

降ろすにしても、、、身体に傷が付くだろ?



『どうすんだ。オレ……』



オレは……申し訳程度のテクで

風俗というものを初体験していた。そのお姉ちゃんに全てを話してみたが……。



答えは……ノーだった。



最初から最後まで、あきは俺に迷惑かけまいと

をついていたんだと……


初めて知った。



こんな事なら風俗なんて来なきゃ良かった。

後悔ばかりした。そうだよな?


あきは…オレを本気で

好きになってくれてたんだ。



じゃあ、お腹の赤ちゃんは……







無我夢中であきを探した。



一人娘の中学校へも出向いたが、

引越ししたとの事だった。


居場所が分からない。どうすればいい?!



悩みに悩んだ。1人で出産すんのかよ?!何考えてんだよ!



そんな頼りねぇか?オレ……。

数ヶ月経った。



あきの姿を見た。という友人が居たのだが、

と話していた。




(降ろしたのかよ。そんな……)



友人が見た場所まで出向くとあきは…キャバ嬢をしていた。


お互い見つめ返しながらも、

何も言えずに、あきは逃げる様に店内へ入って行った。



オレは……力尽きた。






あき

『風俗やってた。』なんて大嘘を付いた事を、信用してしまった自分を笑った。



別れは……突然にやって来る。







その後……

あきが再婚したとウワサで聞いた。



俺は、再婚相手にも

前の旦那にも、、


と…自分で自分を無理矢理にも納得させていたが。





今でも思い出す。

あの笑顔の中には、愛される事を無条件に求めていた寂しさが

映っていた事を……。




オレは1人きり……

飲めやしないワインをグラスに

注ぎながら、



あきへの想いを絶つべく、

夜空の見えるベランダで


乾杯した。







[完]

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時として……こころ たから聖 @08061012

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