第2話 守りたくなる心
その人は……約束の2日後に現れた。
朝から怒涛の如く仕事をスピーディにメモをしながらも、覚えていく。
オレはカフェの少し離れた場所からその人の様子を見ていた。
ガチャーン!!!皿を割った様だ……
(危なっかしいなぁ。)
と思いながらも何処か目が離せない。とても魅力的に写った。
俺が高校3年生の頃に
何気に寄ったコンビニで確か……
居たよな?
愛嬌たっぷりの接客が気に入ってたんだよな。
『ありがとうございます!またお越し下さい。』
何処か寂しげな印象だった、その人は……風の噂でシングルマザーと聞いたのだが
こんなに近くに居ると思うと
やたらと意識してしまう。
(なんでコンビニ辞めたんだろ)
(なんでウチのカフェに来たんだ?)
(なんて名前かな?)
(確か…30代だったかな?)
ガシャガシャーン!!!
(はぁ、おいおい。皿割るの2度目かよ?大丈夫かな?)
『頼むよ〜友村さん。もう辞めてよ?』
『はい。すみません』
『余り酷いと給料から引くよ』
『はい。すみません』
食堂は昼間は戦場だろうに…やってけるのかよ?
危なっかしいなぁ。
ふぅとため息をついて……オレは
単位を取るために授業中、必死にメモをしながら集中していると
オレの嫌いな女が…寄ってきた。
(うわっ!)
『ねぇ。後でカフェ行かない?新人がさ〜
『オレ…パス』
『なぁんだァ。』
終業の合図だ。コイツ……マジ性格悪いわ。
ツレと俺は、単位の話とか授業の話をしながらも
朝に買った缶珈琲を飲んでいた。
『お前、缶珈琲飲むならカフェ行かない?』
『どっちでも?』
『俺……あのお姉さんに逢いに行く』
『あっそ。』
気になるけど、素直になれず
ポーカーフェイス気取るオレ……
『行こうぜー
『わぁったよ、、、ったく。』
(あの女、
ちょっと様子見るか……。
カフェに着くと雑音がスゲェ……
いつもより生徒多いんじゃね?
それも、そのはず……
その
(無理してんなぁ。)
そう思いながらも空いてる席に着く。
雑音が余計に酷くなる。
聞き取りずらい状況の中、その人は頑張って注文を取りつつ
厨房に頼んでいた。
1パック100円のジュースに
ストローを刺して…ジュルっと
飲んでいた時……
ソレは起こった。
『嫌だァ!!この人!!ちょっとぉー!!何すんのよ!!』
甲高い声が響く。
生徒達は皆知っている。新人イビリの激しい事を……。
その女性は、謝っている。
カレーを服にこぼしただの、かけただのと、突っかかる女生徒が
数名居た。
途端に食堂のおばちゃんが出てくる。
『ごめんねぇ、出来損ないだからさぁ。』
キャハハ!!と女生徒も笑う。
その場に居た生徒らは、見て見ぬふりをする。
そう……オレも、
(何時もの事だから。)と
余りにも酷いけど口を出せなかった。
だけど
だけど……オレは……
次の瞬間、叫びながらも
こう言ったのだった。
『ここのハンバーグってめちゃくちゃ不味いんだよなぁ。誰が作ってんだろな?』
おばちゃんに聞こえた様で、バツが悪そうに奥へと姿を消した。
その人は、俺の方を見ながらも
お辞儀をしてくれた。
オレは……
黙ってらんなかったんだよ、、、。
なぁ、お姉さん。
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