第7話
喫茶店でタバコの煙に目を細めて、アヤが来るのを待っていた。
扉に背を向けて腰掛けていた俺だか、入口扉に付いている、鈴の音色がカランと鳴っただけで、アヤが入って来たことがわかった。
「お待たせー」
「そんなに待ってねぇよ」
アヤは甘さタップリのアイス黒糖ラテにシロップを追加するよう注文する。
「死ぬほど甘そうだな。そんなの飲んで太らない?」
「太って人気が落ちちゃったら、ぐりっちに面倒みてもらうから、いいんだもん」
「しょうがねぇな、今日もアフター、断わったのか?」
「うん、でも、ぐりっちに誘われたって言ったら、納得してくれた。怒った?って、ぐりっちって、ホント、他のお客さん達に人気あるよねー」
「男に好かれてもなぁ…つか、なんで俺の名前出すんだよ…他のコの耳に入るだろ?まぁ、言ったもんは、しょうがない…さて、今日はどっか行くか?」
俺は呆れ顔をわざとつくろい、アヤのおでこをひとつ小突いた。
「痛ったいなぁ、早く二人になりたいもん…行かないよ…私の部屋で一緒に居ようよ」
額を擦りながらも、アヤは笑顔で俺に答える。
アヤの言葉に頷いて、2人寄り添い、歩き出し、辿り着いたら俺がアヤの部屋の扉を開いた…。
部屋に入ると俺は驚いた。
そこには、真新しい男物のパジャマと下着が畳まれて置いてあった。
「アヤ、こんなの買って来たのか?」
「いつでも、ぐりっち、来てもいいように、前に買って置いたんだ」
アヤは悪びれもせず、笑顔で俺に答える。
「ぐりっち、シャワー浴びなよ」
「そうだな…でも、入ってくるなよ」
「それはどうかな?」
俺は、この時から、本気でアヤを愛し始めたのかもしれなかった…。
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