第11話
俺は目覚めるとそこは病室で、点滴をうたれながら今まで寝ていたのだと気づく。
「は?どこだ!てかなんで俺は病室のベッドで寝てるんだ?」
左手を見ると彼女が左手を握ってくれていた。
暖かい。
「おい!あんこ!!起きてくれ!今俺はどういう状態にあるんだ!」
そう大きな声で右手で彼女の肩を擦ってみる。
しばらくすると、晏子が起きてきて一言、
「んー?ん!?えっ!?おさみん!おさみんが起きてる!!!」
晏子だ、間違いなく晏子だ。この顔。この優しい手。白髪になって様変わりしてるけど間違いない。
「てか、このバカ!!いつまで経ったとおもってるのよ!!」
晏子に怒られた。多分俺はやらかしたんだろう。記憶はないけど。
「でも、本当によかった。おさみんがいなくて、さみしくて、本当に。。。本当に。。。よかったよ。。。」
そういうとポロポロと涙を流し泣き始めた。その白く染まった髪を撫でる。俺は勝手なことをした。勝手に人助けをするつもりがこんな目に合わされてたんだとつくづく反省した。
「ごめんよ、晏子。俺が不甲斐ないばっかりに。俺がしっかりしなきゃいけないのに。いつも晏子を頼って、ごめんな。そして、ありがとう、今まで俺の手を握り続けてくれて」
そう言うと俺は、晏子を抱きしめた。晏子の背中をポンポンと叩く。
しばらくして、病室から出ようとするが一応ナースコールを押してみて一旦待つことにした。
1分後にナースが来た。
あれ?見覚えがあるぞ?あれ?いのりじゃね?
あっ!いのりだ!!いのりのそっくりさんにしては似すぎている。ふと名札を見ると
「紅田いのり」
そう書かれており、その瞬間、身体に電流が走った。
「い、いのり!なんでこんなところにいるんだよ。てかなんで歩けてるの?」
「お兄ちゃんのお陰だよ」
そういうとにっこり笑った。
「お兄ちゃんが寝てる10年間で色々あったんだよ。みんな待ってるよ、お兄ちゃんが帰ってくるって」
そうニコやかに話す。
10年。。。10年間!?
「まてまてまて、10年?俺は10年間も意識がなかったのか?し、信じられねぇよ」
それと同時に、今俺が置かれている立場がどつうなってるのか、気になりながら、天を扇いだ。
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