第10話
黒スーツでビッチリ決めていて、白髪で中々のイケメンに見える。
ただ、印象は笑えるぐらいすこぶる悪い。
青みがかった目と紫のネクタイが印象的だ。
とりあえず、「おう」とだけ伝えて、そこから時雨はニコッと笑って「それはよかった」と返した。
時雨の雰囲気がガラッと変わった。
シリアスで真面目な表情。
急に気が引き締まる。
これだ、これが俺のにとって大事なことが始まるのか。
心でそう呟き、時雨は重たそうな口を開けた。
蝉「紅田修身くん、地球が今から2年後に終わるって聞いたらどうする?」
紅「どうするもなにもどうもしないっすね。しかたがないんじゃないっすか。むしろ嬉しいくらい。この地獄から抜けられるのであればですけど」
蝉「そうか、修身くんはそっちタイプね。客観型だ、俺とよく似てる。」
しばらく沈黙が続く。
するといきなり時雨がゴホッゴホッと右手で口をおさえて咳き込む。
その手を時雨が見て紺色のハンカチを、赤く染まった右手の血を拭う。
蝉「俺ね、今日なんだ。その日が。」
蝉「だからさ、俺の血を、紅田修身、お前に託したいんだ。」
俺はしんどそうに喋る時雨を見て空を見上げた。
紅「んーっと、なんか重大なこといってると思うけど、別にいいよ。今のところやることないし」
そう言って、車道の真ん中に2人で行き、握手を交わす。
蝉「いいか、これは契約、2人の秘密。等価交換で修身の10年を頂く。」
紅「はぁ、そうならそうと早く契約しちゃおうよ。いのりの面倒もあるからさ」
そして2人は強く手を握り合った。
カンカンカンカン
電車が来るときの警告音が鳴り響く。
ドカン!!!ガラガラガラ
た、、、すけて!た、す、け、、、
ボロロロ。
ピーポーピーポー
早くしろ!!公安の人間を早く!!!
2012年11月22日、日本のシブヤにインセキが落ち、日本各地で災害が連発した。
後にこの日を【インセキ大災害】と世界的にそう呼ばれた。
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