第5話
埼京線の電車の端の席が空いていたので即座に座る。
俺の特等席だと言わんとばかりに自信満々で座り込む。
ここから、大宮まで30~40分。
それまでは、好きな音楽を聞くことにする。
最近の流行は「水玉のレギンス」
キリンズの最新曲だ。
キリンズはいつも聞いてるとほっとするし、わくわくもする。
マジで好きなアーティストさんだ。
俺の夢は決まってはいないが、ゆくゆくは音楽プロデューサーになれればなと思っている。
本当に思ってるだけなんだけど。
雨の日は「雨のコーデ」、晴れの日は「水玉のレギンス」がお決まりである。
ふとさっき渡されたコーヒー豆の袋に入った包み紙を手にした。
中を見てみるとコーヒー豆の他にもクッキー数枚と手紙が入っていた。
店主のマイケルは俺のことをウーバーピースと勘違いしているに違いない。
でもこれを届けるだけで1万円は高すぎないか?と疑問に思いつつ、赤塚駅に着きドアが開いた。
ドアが閉まり、しばらくすると電車が動き出す。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
また電車に揺られて、周りに目を配る。
目の前には緑色のカーディガンを着た女性が立っており、その後ろには黒スーツの男性が目をつむり、奥にいる席の端にいるおじさんは手すりを持って、目的地に着く前に動き出す準備をしているようだ。
川口駅に着くとそのおじさんが出て行き、数人の移動が始まる。
いつもの日々、のようで何かしらの違和感を感じる。
そう、たぶん今日、何か人生の中で大きな選択をする日なのかもしれないと直感でそう思った。
そうこうするうちに大宮に着いた。
始まる。
俺のホームに出る一歩目の右足が、そうささやいている気がした。
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