第16話

 まずフェスのような存在―――――上級古代竜種ハイ・エンシェントドラゴンの他にも上級幻想種ハイ・エンシェントクラスと呼ばれる種族がこの『世界樹の園』にいるという事だった。

 この世界では新たな世界が誕生するのは特別珍しい事ではなく、その生まれた世界を管理し見守っているのが本来彼らの成すべき事でもあり彼らにとっては〝日常〟でもあった。

 しかし、

 それが崩れ始めたのは突然だった。

 『世界樹の園』に実っていた『並行世界』の一つが突然崩れ始めたのだ。

 原因は不明。



 ただ分かった事はとその世界を終焉させる災害を通称『大禍刻オオマガドキ』と名付け、これ以上の被害を出さない為にも上級幻想種達の会合で滅びゆく並行世界から力のある者を救い出し同時に世界を救ってもらおうという結論が出たのだ。



 他人が聞けばとんだ人任せだと思えるが、その時ばかりは彼らにはどうしようも出来なかったという事と、そして

 それは大禍刻が発生した際に無理矢理その世界の人間を異世界ユグドラシルに召喚する事は成功したのだが、という事だった。



 記憶障害は時間が経てば取り戻していくのだが、精神汚染は本人の意思で左右されてしまう。

 記憶を取り戻した時、

 こんなのが現実なわけがない。

 世界を認めない。

 これは夢に違いない。

 そう言った精神状態でこの『大禍刻』の〝瘴気〟によって汚染された『世界樹の園』に長く居続けるとやがて自分の精神も崩壊していき狂ってしまうのだ。

 狂った異世界からの召喚者は力を破壊にのみ使い暴虐の限りを尽くす『支配者ドミネーター』になってしまう。

 更に厄介なのがこの『支配者』はこの『世界樹の園』ではのだ。



 洸太郎達と戦った『道士タオシー』の小燐と言う少女がそうだった。

 彼女はこの世界を否定し、

 その結果、彼女は



 ならばその時、上級幻想種である彼らは何をしていたのか?

 自分達が召喚した者に危害を加える事が出来ないという『制約』を自分達に科したのだ。

 その『制約』を破れば待つのは自身の消滅。

 それが自分達が背負った〝業〟だという事だった。

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