第2話 四人の少女

 華奢で細い身体は精巧せいこうな彫刻のようで、触れると壊れてしまうのではないかと思うぐらい、神聖なもののように見えた。膨らんだ胸もくびれた腰も、全てが明るみになっていたからこそ一層そう思えた。

 私は状況がわからず、目の前の少女を前に硬直してしまった。

 すると、金髪の少女は私を見て顔をしかめた。

「あなた、誰?」

 その言葉に続くように、金髪の少女の周りに人が集まってきた。彼女は一人ではなかった。他にも三人の少女がいたようで、彼女たちもまた全裸だった。

 一人は金髪の少女よりも年上の落ち着いた雰囲気の少女。身体は肉づきが良く、特に胸のボリュームは少女たちの中では群を抜いていた。

 もう一人は長い髪を左右で結ったつり目の気の強そうな少女。身体つきは全体的に控えめだが、けして貧相という感じではなかった。

 最後は少女たちの中では一番小さく、幼い少女。無論身体はまだ発展途上だ。

 全裸の少女たちに囲まれた私は、何が起こっているのか、見当もつかなかった。

 ここがどこで、彼女たちは誰なのか。どうして全裸なのか。

 目をそむけるべきなのに、体が動かない。脳がうまく働かない。

 ただ私が呆気に取られていると、彼女たちの表情が多様に変わっていくのだけがわかった。

 手を取ってくれた美しい少女は変わらず怪訝けげんな顔。

 年上の雰囲気の少女は頬を赤く染めた。

 気の強そうな少女は眉がつり上がった。

 幼い少女は不敵な笑みを浮かべた。

 とにかく私は何か言わなければと、のどを絞り出して声を出そうとするが、それよりも先に、気の強そうな少女が私に向かって歩み寄ってきた。

 よく見ると、身体が震えているが、水に浸かっているからではないのは瞬時に理解できた。そう。理解できるぐらいに私は落ち着いてきていた。

 それから、彼女は右腕を上げたと同時にそれを勢いよく振り下ろした。

 私の視界に彼女のてのひらが近づいてくる。私の意識はその光景を最後になくなっていった。

 

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