第40話 日記


俺たちは期待を込めて、日記の表紙をめくった。



〇月✕日

今日から入いん。

びょうきのせいで、歩けなくなっちゃった。

学校に行けないのやだな。

みんなに会えないのさみしい。

でもお母さんが毎日来てくれるから

少しはだいじょうぶ。

日記はお母さんが書きなさいって言ったから

毎日書くよ!


〇月✕日

今日はおみまいに、お母さんとかなが来てくれた。

かなが勉強を教えてくれた。

同じ5年生だから助かるね!

本当は私の方がお姉ちゃんだから

教えてあげないといけないのにね。


〇月✕日

さかまき先生はやさしいの。

いつも私のことを見ててくれるの。

むりはしちゃダメだよって。

きん肉が弱ってるから歩いちゃダメよって。

また歩けるようになるのかなぁ?

私の足はダメなのかなぁ……。


〇月✕日

今日かなが

もうすぐ歩けるようになるよ

って言ってくれた。

でも、さかまき先生とお母さんが

話してる声聞こえちゃったんだよね。

びょうきがしんこうしていて

歩けるようになるか分かりませんって。


〇月✕日

さかまき先生がおかしをくれたよ!

クッキーにアメにチョコレート!

お母さんに話したら良かったねって。

やさしい先生でお母さんもうれしいわって言ってた。


〇月✕日

毎日お母さんは来てくれた。

でもうちにはお父さんはいないから

お母さん、大へんだと思う。


〇月✕日

かなが1人で私のへやに来た。

お母さんは?ってきいたら

先生とお話してるって言われた。

多いよね、先生とのお話。

私、もうなおらないのかもしれない。


〇月✕日

毎日書くって言った日記も

さいきん書くことがなくて

空白がつづいちゃってる。

書かなきゃって思っても

いつも同じ毎日で

つまらない。


〇月✕日

今日はかんごふさんが

私のへやにベッドをおいてもいいか

って聞いてきた。

他の部屋は大人ばっかりで

子どもが にゅういんしてるのは

私の部屋だけなんだって。

でも私は206のへやに

男の子がいるのを知ってた。

いたずらっ子だから 心ぱいなんだって

かんごふさん言ってた。


〇月✕日

ベッドがへやに置かれた。

どんな子が来るんだろ?

楽しみだな。

お友達になれるかな?


〇月✕日

男の子が来た。

名前は ふかやふゆき君。

サッカーで転んで

足の骨をおっちゃったらしい。

明日手じゅつだって、聞こえてきた。


〇月✕日

となりがうるさい。

カーテンで見えないけど

おみまいに友達が来たみたい。

早くなおせよ、サッカーやろうぜ

そう言ってはげましてた。

足の骨がくっつけば

ふゆき君はたいいんする。

私の足もおれただけならよかったのに。


〇月✕日

ふゆき君の友達はすごくうるさい。

にぎやかで楽しそう。

うらやましいな。

かなは習い事があるから来れないし。


〇月✕日

今日もうるさかった。

国語の教科書を読んでたのに

集中できなく。

しかも勝手にカーテン開けてくるし!

あ!ごめん!あ!おれと同じ教科書!!

って言われて話すことになったからいいけどね。

お友達が一気にできた!うれしい。

ふかやふゆき君に

その友達の

もちづきしんすけ君

たどころせいや君

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