第40話 作戦終了
ラスターが宇宙でやる気が
「一石二鳥――なんてものじゃないわね」
クスリと笑いながら
今回の目的は、
そして目的は達成された――だが、
カンラギが
そして、さらには机上空論でしかない次元断層の発現――
そして――出撃場への
――うおおおおおおおお
部屋いっぱいに
「はぁ~」
気持ちはわかるけど――なんならカンラギも数秒前まで同じ気持ちであったが、周りが狂っているのを見れば冷めてしまう。
もっとも、同じタイミングで同じ感覚を共有できなかったためであり、狂ったテンションを
「よぉ~、どうしたよカンラギ~」
うざい
「まさか、本当にやってくれるとはな~」
ガレスは決して、これほど無作法に不快感を煽るような人物ではない――あまりの
「お前、どこであんなの見つけてきたんだ?」
「近いです」
ぐいっと
「あれ? シズハラさんは?」
「さぁ? どっかで
――それはお前だ!
反射的に
IQ3にまで落ちぶれたガレスは、笑っている意味が理解できずに流すと、IQが3でも理解できるシズハラの動向に気づく。
「フィアリスに乗ろうとしてるんじゃね?」
「はっ?」
フィアリス――第一番隊隊長、シズハラ=テンキが乗るReXの名前である。
「なんで?」
信じられないといった面持ちでカンラギは聞くが、ガレスは不思議そうな顔をする。
「夜明けの騎士を
「えっ……」
絶句していると、真面目
「あいつうううううう」
迷惑をかける対象が自分であったことを理解してしまったカンラギは、乗り込む前になんとか
「
夜明けの騎士であることを
なによりも
「やめなさい!」
「なんでだ! 問題があるかもしれないだろ!」
――問題を引き起こすな!
と、問題の
「問題はないわ。全て予定通りよ!」
「なに!?」
戦艦級を倒し、それから集団を
『
「最初から、戦いが終わった後にはすぐ戻らないことまで約束の
そして、その
「どうして……」
「それも
不服そうな表情でシズハラは
「では、みんなを集めてもらえます?」
これを受けたシズハラは、号令によって武術科
「みなさま! まず最初にお疲れ様でした!」
朝礼台で深々と頭を下げるカンラギに、これまで
とはいえ、地に足つかずのふわふわした夢のような状態から、この幸せが本当であると知った喜びへと変わっている最中であり、彼らのボルテージはいつ
「心からの感謝を込めて。生徒会から
歓喜の声が上がり――そして、
「夜明けの騎士はまだか!」
目をキラキラと
「これから
「まだなのか……」
ショボーンと悲しげな様子――カンラギの見立てでは、最初に当たりがきつかったことを
「
「そうか。まぁ回復したら連れてこいよな」
「本人の希望次第ですが、分かりました」
まず
いちいち教えたりはしないが。
「一旦空ける? 回収はしなくていいのか?」
リーフが不思議そうに聞く。
回収とは、放心してうなだれている夜明けの騎士の事ではない。
宇宙に散らばるワームビーストのエネルギーコアのことである。
倒したワームビーストにプラグを突き刺し、エネルギーを吸収するのは、当然ながら
それを
「必要ありません」
「なんでだ?」
「おいおい、別にいいじゃねーか。必要ないって言ってるのなら」
食い下がる……というほどでもないが、そんなリーフにガレスがヘラヘラと口を
武術科――トリヴァスなどでは軍などに当たる組織は、ただワームビーストを倒すためだけにいるのではない。
エネルギーコアの回収や、必要に応じて
地球に住んでいた頃で例えるならば村を
素人からすれば、AIに沿って
もっとも今回は少し違う。
「戦艦級が来ちゃったから……」
「戦艦級?」
リーフが不思議そうな顔をするが、カンラギはこくりと
「戦艦級が来た時に――実はメイリスに連絡を入れました。だから……回収したところで全て持っていかれちゃいます」
メイリス――宇宙最強のReX部隊とも言われるコロニーであり、光速航行をしてきたワームビーストからコロニーを守る組織名である。
戦艦級がいれば戦い、補給などは要求されるが、
戦艦級のエネルギーコアに関する取り引きを一手に引き受けているため、多大な利益を生み出しているのが報酬いらずの理由。
「もちろんみなさまが回収したいというのでしたら別ですが……回収費は出しませんよ?」
やってくるメイリスからの部隊のために、エネルギーコアを回収しましょうというお花畑発言をしないのが、カンラギのいい所でもあり、合理性を全面に押し出した思考は、悪いところでもあろう。
リーフは苦笑しながらも、納得して引き下がる。
「解散!」
「まだです」
テンションマックス、ノリだけ星人と化したガレスを
「本来ならば、色々な後片付けが必要ですが、今回は整備班の方々以外は、体育館ホールに順次料理を運んでいく予定となっています。また、整備班の方々につきましても
ワッと歓声が
「ではみなさま、本当におつかれさまでした――解散!」
そして、ゾロゾロと体育館に向けて、移動が始まるのであった。
「みんな、おつかれさまー」
場所は変わって管制室。
オペレーターと第一生徒会会長のヒヤマを、カンラギが労う。
「あの……戻ってこないんですけど!」
心配そうな声でオペレーターが言う。
宇宙空間で通信を切って
戦闘中ならいざしらず、やることがない場合は、定期的に声をかける――それは、パイロットのメンタルケアとして、オペレーターに求められる仕事の一つであった。
実際問題、原因は過去の
「問題ないわ。みなさんも休んでください。ここは私が引き受けます」
「いえ、私もご一緒します!」
オペレーターとしての仕事を投げ出さないという強い意思を見せる一人に、カンラギはにっこり
「
肩に手をかけると、ギュッと
「ひゃぁぁっ」
「ほら、肩の力を
そう言いながら、優しく――
「ここは、私、一人で、やるから。ね? 大丈夫よ」
ギュッギュと肩を揉みほぐしていきながら、耳元で
「みんなも疲れてるでしょ? 残りは私が
うむを言わさぬゴリ押し――とはいえ、仕事を押し付けているわけではない。
ここにいるメンバーも、どさくさに
「じゃあ、任せるよ」
反応に困るメンバーを代表するように、ヒヤマがはっきりと言う。
彼女が引き受ける理由は、自己
それが悪であれば、止めるのは彼の仕事だが、そうでないのなら基本的に通す男であった。
「分かり……ました……」
休みたいという気持ちと、仕事を最後まで
「えぇ、任せて」
そうして――出撃場を
「はぁ~。さいっこう」
誰もいなくなった管制室で、
「ねぇ、早く帰ってきなさい」
熱に浮かされて、
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