第35話 バッテリーの受け渡し方
「いや、あれ? そんな……」
本来、運んだエナジーバッテリーを、ワームビーストより早く気づいたラスターに回収してもらうつもりだった。
だというのに――ラスターはワームビーストの
当然、バッテリーの危機にラスターが
「そうか!?」
バッテリーの警告が20%で行われるのは、そのタイミングであれば、
「無理矢理コンタクトを取る?」
手段はある。彼の動きは
そこで、救援があることを告げれば――
「告げたら約束を
手を
「だったら、エナジーバッテリーをシズハラにでも運ばさせる?
こちらは恩を作る立場である――
「じゃあ、見捨てる? それは
せっかく見つけた手付かずの原石――いや、加工済みの宝石。
「そもそも、ジャックテイル……ってなに?」
それ以前に、この
カタカタとキーボードを
「これって……こんなの使えるものなの?」
当時は気にも留めていなかった部分が、わかりやすくまとめているレポートを見つける。
理論上、エネルギー切れが起こらない永久機関――
そんなことを戦場でやる
いや、可能だからこそ使っているのだろうし、そもそも武術科を殺さずにReXを破壊してのける技量があることは確認済みである。
「これが三日三晩に
信用していると口では言いながらも、それでも心の底からとは言い難かった。
相手の力量を正確に理解しているわけでもなく、どれだけ
けれど――今回の戦いで実力を知ってしまった。
「ここで、諦めるなんて……」
自分の物にしたいのであれば。決して失うわけにはいかない。
命も――そして、
この二つを守りながら、彼の手助けをする――その方法がわからない。
「どうすればいい? スカイミュールを二機用意して時間差で
そうすれば……彼の実力なら二個目を手に取れる。
だが、ここまでの独断を不信感を
「どうすれば……」
カンラギが
『どうしよう?』と言いながら、敵をスパスパと切り続けているReX――同じ仲間であるはずの武術科を、敵認定して
そんな、
「悩みながらだというのに、当たり前のように戦えるのね……」
消費電力を
「欲しい……」
助ける方法はまだある。
だが、それをしてしまえば信頼を失う――それでも。
「ごめんなさい」
論点をすり
バレないために見殺しにして、今回のことを
「今度は十世代に改造してみせるから……だから……許して」
勝手に作った借りを返すという……身勝手な
ゆっくり一呼吸入れて、カンラギは救援のために武術科へ
「ん?」
なぜかUIに文句を言い始めたラスターに、カンラギは手を止める。
「なにを……探しているの?」
ヴォルフコルデーと同期したPC画面が、メニューを開き、そして閉じるを
意図が分からずテレビ画面に目を移せば、ヴォルフコルデーも不自然に止まっては動いてを繰り返している。
動く理由はワームビーストが
「メニュー画面を操作したいの?」
だったら代わりに自分が――と考えてやめる。
結局見ていることがバレることには変わらない。
そして……
「ヘルプ? ヘルプが見たいの?」
たまにヘルプを開くのだが、やはり閉じる。
操縦をすると同時に、メニュー画面がデフォルトのレーダーへと
メニューを
しかし、事前にReXの勉強をいくらしていたところで限界があり、一番多い例では、戦い終わった後にコックピットの開け方を迷う人が多かったりする。
「
ここからでもUIに手を加えることなど造作もない……が、不信感を持たれかねない。
「落ち着きなさい――なぜヘルプを見たいの?」
それはラスターが、そこに解決策を見出したから――か?
いや、きっとそうである。というか、この状況で違う場合まで
「ヘルプを見れば問題が解決する。なら、どうやって見せる?」
操縦しながらではメニュー画面に
「だったら……操縦しながらメニューを触らせる?」
自分でも何言っているのか分からない疑問――ではなかった。
「あるんじゃない?」
だって――なぜならあれは、カンラギが望む全ての技術を
十世代型といった極一部の天才にしか、乗る価値を見出せないReXではないが。改造され
「ねぇ、あなたの力、余すとこなく全て教えて」
もし使いこなせないのなら、その時はその時、期待外れということである。
どこまでも
「じゃあ……いや、その前に」
いそいそと制服を着て、ピシッと決める。
「ヨシ!」
ヨシ! ではない。
上半身は
もっとも、本人以外に見れる人はいないのだが、バレなきゃヨシ! の精神を
「期待してるわよ? ――私の愛しい騎士様」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます