第23話 騎士への願い
「それでも、本当にしたことを私は知っているわ。お願い、私たちを助けて」
カンラギはぎゅっと胸元で両手を合わせて、
そんな
「何しに来たんだ? お前?」
「えっ? だから……あの……」
カンラギはわけがわからず混乱するも、すぐに落ち着きを
「夜明けの
「力を貸して貰いに? なぜ、来んだ?」
「えっ?」
目をぱちくりさせ、どういう意味か考え……理解出来ぬまま、動きを止める。
「
カンラギはこくりと
「そのために、お前はここに来たって言ったよな?」
数秒ほど考え、意味を
「お前……俺は何しにここに来たと思ったんだ?」
「それは……」
じっくりと考えながら、物事のあらましを
「そもそも俺は、お前らを助けるために、わざわざここまで来たんだよな? それなのに力を貸せだ? だったら
「あぁ、ごめんなさい。……ふふっ」
「あぁ?」
……どうしましょう。
カンラギとて笑うつもりはなかったのだ。
しかし、彼の行動が要所要所で、非常に幼いところを見せるせいで、ついつい
夜明けの騎士という名前に似合わず子供っぽい行動が、どこかおかしくて――しかし、
(そもそも、夜明けの騎士なんて呼び名が付いていた時は、
むかっとした不快感を見せながらも、カンラギの様子を疑うラスターに、これ以上謝罪を重ねるのはあまり効果的ではないだろう――笑ってしまったのだから
相手が子供であると思うなら、協力をもらう方法はまだある。
何よりもラスターは一つ
「私達は力を貸して欲しくて、こちらに来たの」
「だから貸してやるよ」
どこまでも
しかし、想像以上に認めたがらないせいで、思わぬ
「私はね? 力を貸して欲しいの――」
どことなく上から目線で、
「貸せるの? それ……で」
「なにが、言いたい?」
ゾッとするような殺気を出したラスターに、カンラギは言葉に
身のすくむような
指一本たりとも体に
そもそも
なによりも、本物の夜明けの騎士足り得ると確証を感じられたことこそ、身を
「失せろ」
殺気の
「あなた……死ぬ気?」
どちらかと言えば、こんな
「……そんなつもりはない」
先程の強気な態度は形を
「あなたの実力を信じている……だからこそ、私はあなたにはコレに乗って欲しいの」
カンラギはヘッドフォンのハウジング部分を押すと、中から板が現れる。
そして、その三つ折りの板を開くと、そこにはどこかで見た機体が表示されていた。
「……スマホ?」
しかし、ラスターは表示されている機体を
「良いでしょ!」
「そう……か?」
というより、ヘッドフォンを首にかけている理由は、スマホ入れの代わりだったりするのか? ……今は耳につけっぱなしのままであるが。
「それよりも! コレ!」
「あぁ……うん。そうだな」
折りたたみスマホに映し出されたのは、ヴォルフコルデー――昨日の写真でみた元一番隊隊長のReXである。
「あなたにはこれに乗って欲しいの!」
「!? まだあるのか?」
どの隊長も、この機体に乗っていなかったので、死んだ隊長とやらと
「えぇ、修理はしたんだけど、
「なら、なんで直したんだよ……」
「ここが学園コロニーだから?」
あらゆる
「しかし――」
「当然、武装もちゃんとあるわよ!」
まさに至れり
「なんか時系列おかしくね?」
夜明けの騎士という呼び名を知っていながらの武装――であるなら用意される武器は剣であろう。
……なんでご時世に、剣の武器が用意できてるんだ?
たとえ一週間前から気付いていたとしても、ビームライフルならいざ知らず、剣の用意ができるはずもない。
「……?」
ラスターの質問を理解しきれないカンラギは、不思議そうな顔をして首を傾げる。
「ロマン?」
首を傾けたままカンラギが答える。
それらが意味するのは、この学園で一番の性能を
「ロマンねぇ……」
学園コロニー全体がこうなのか、スーデンイリア特有なのかはわからないが、やりたいことをやるあまり、使い手がいるかどうかを忘れる人達が多いということだけは分かった。
「もう起動するための準備は済ませているわ。あとは――あなたの手に
「まぁ、
整備の面や機体性能の低さに不安があっても、基本的な内装や感触に関しては多分問題ない。
基本的には規格の統一はされている……はずであるが、やはり別コロニーのReXに乗れば、そのコロニー特有の
だが、同郷の人間が持ってきたヴォルフコルデーなら、ラスターにとっても使いやすいままであろう。
「そう、あなたがそう言うのならちょっと安心」
嬉しそうに微笑むと、カンラギは後ろに向かって歩き出す。
そもそもカンラギは、この
「じゃあ、ついてきてくれる?」
「――
ラスターとしても、今更無意味な
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