第11話 ラスターの力
演習中にするような話ではない
「まぁ、リーフくん以外も
うんうんと
「なに? どうかした?」
ニヤニヤとやらしい笑みを
「あの――気のせいかもしれませんけど、ラスターさんの数値……なんか変なんです」
「変? 機械が?」
当然、故障していれば機械の精度は悪くなるが、首を
「
「そう……」
カンラギは自身の
「一番不思議なのは――安定性の
「そうなの?」
カンラギは表示されている数値を見ながら、首を
ReXを動かせる学術科生徒と言うのは
だが、ザファールで遊んでいれば実際のReXの乗りこなせるわけではない。
ザファールとReXでの一番の
基本的に重力発生装置の上で使うザファールと、宇宙に出て戦うReXとでは体にかかる重力の存在によって、
たとえザファールで安定した操縦が出来たとしても、実際に宇宙に出て動かすと、
「安定性の数値が悪い人たちは
「っ!? もしかして……ラスターくんの乗り方からはそうは感じない?」
「はい! それに……」
言いづらそうに
「その……フォビル
「えっ?」
「いえ、命中精度はそれはもう、ものすごく良かったですけど……他の項目は……試験中だと、わざとよくしてるけど、いつもは
「へー……」
カンラギは
フォビル=マックアラン――元一番隊隊長であり第二生徒会会長、当時副隊長であったシズハラと恋仲関係にあった男である。
戦うスタイルは――銃格戦技。
「まさか……」
数値という点では機械は人間の目視より、非常に正確である。
だが、その数値が何をもって正確かといえば、標準化された
「彼も銃格戦技を収めているというの?」
銃格戦技――近接
その
「どうでしょう……もしかしたら命中精度の悪さもそれが理由……? でも、フォビル先輩は別に問題なかったですし」
「あの手の天才と
やり方が違えど応用が利く――そんな異次元の存在を基準に持ってくるべきではない。
「とりあえず、ザファールの調整でもしてみますか」
「じゃあ、リーフくんへの報告はよろしく
「わかりました」
「呼びましたか?」
「えぇ、元気そうね」
「そう見えますか?」
にこやかに
「ちょっとこれに乗ってもらえる?」
「はぁ……」
シズハラ大隊長のお願いならお断りも視野に入るが、カンラギ副会長と仲違いするのは今後の関係上よろしくない。
少なからず不服に思いながら、ラスターはめんどくさそうに返事をする。
「じゃあ、お願い。実際の
「しかし、なんで?」
ザファール――その中でも高級の部類に属する大型
「あなたに銃格戦技を試してみて欲しいの」
「いや、なんで?」
理由に心当たりのないラスターは不思議そうにするが、にっこりと微笑むその
「はぁ~、下手くそでも文句言うなよ」
中に入ると銃格戦技モードで起動し、ラスターは操縦を始めた。
「なんだこれは――」
ザファールの中からラスターの嫌そうな声が響いてくる。
近接戦を意識した上で、それなりの技量があることを前提にしたシチュエーション――大量のワームビーストがいる地域を
両手の銃を
スカッ!
しかし、全部が全部ではないにしても、
「上手いとは言いにくいけど、別に下手ってほどでもない感じか」
苦手な人間なら、武術科であっても既に負けていてもおかしくはない。その点、ラスターは
ミラクルアクロバティックがあるわけでもなく、射撃の
ワームビースト相手に平然と近接出来るのは、度胸があるのか、それとも
つまるところ――
「よくわかんないわね」
やれやれとため息をつきながら、現在の査定スコアを見ていく。
「安定性の項目は……微妙ね」
高くはないが……それでも先程より上がっている――か?
全体的に最悪ではないが――適切な言い方だと
「結果が似ているかと言っても、彼と同じ様に出来るわけでもないか……」
フォビル=マックアランと比べるのは
銃格戦技を極めたいと目をキラキラさせて言う少年であれば一考の余地はあるが、本人にほとほとやる気が感じられないのであれば、要望どうり後方から安全に撃たせる現状の立ち位置を変えるべきではないだろう。
意外と長い間、
「お
出てきたラスターにカンラギは労うと、今回の結果を報告しようとして――やめる。
悲鳴を上げなかったのは
ザファールから出たラスターは無言のまま出口へと向かい、その姿にカンラギは息を
「きゃっ――」
進行方向を
「待っ……」
「な……に?」
「なん……だったの?」
ワームビーストは人類の
いや、正確にはそんな様子を見せたら、やめさせればいい話であり、今回記録していた範囲で彼に異常は見受けられなかった。
銃格戦技の使い手としての才能があるなら、それ専用の装備を取り付けることによって、仮に危機が訪れたとしても生存率を上げることができる。
面倒事を
だからと言って、あなたのためを思ってやってあげた――なんてのは押し付けがましい言い分であることが想像出来るので言うつもりもないのだが……
武術科でも――いや、だからこそ
下心混じりの
それらを、
「さすが……ミレイ=フォードと言ったところかしら?」
学術科の――しかも、あのミレイ=フォードと仲良しとくれば、少なからず借りを作っておけば便利であると言う考えの元、彼を
だからこそ全力で
「面白いものを
これほどまでの恐怖を感じさせられたのは久しぶりであった。
指でくるくると長い
次期生徒会メンバーに
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