第4話 お昼ごはん
対処すべきワームビーストの数は1体であったため、処理自体はすぐ終わった。
しかし、
とはいえ、
夜
「なんで授業があるのやら」
昼休み、食パンを
なお、義務は何一つ果たしていない――彼らは天文学部所属の帰宅部員である。
リンゴパーティーなる予定と共に、日曜日が
「
ミレアは
別の被害を関しても、ワームビーストを追った時や、
住居者などからすればでかい被害だが、それでも人類の長年の大敵を相手に死人が出ていないのは
食べれば食べるほど成長するのだが、
「それに、武術科の人達も事故はなかったみたいね」
「だから、平和に学校があるんだよね……授業が減るかと思ってたのに」
ミレアが教えてくれる情報に、ルーナは幸せと不幸が入り混じった
「あいつらは一人や二人が死んだくらいでギャーギャーうるさいからな……」
不快そうにラスターも続けていく。
慣習的に武術科の生徒がワームビーストの被害で死者が出ると、
始まりは学術科による武術科に対しての敬意による習慣だったが、積み重なった習慣は、いつしか
「あいつらは世界が自分達中心で回っていると思ってるからな。あーくっそ、今思い出しても、前の
不満を
あれやこれや理由をつけて金をせびり、見舞金の値段にあーだこーだと口を出してきた
彼らがいなければ、自分達の安全は保証されない――しかしながら、その点を
優遇措置自体は当然であるとラスターも考えているが、いかんせんそれらのお
「大事な仲間とやらが消えて、なんで
そして彼らは
「そんなことより! 映画行かない? リトルナイト絶対面白いって!」
「確か――子供の
「そうそう!」
「面白そうですわね」
「確か二週間後だっけ? 楽しみだね」
「お前なぁ」
特に乗り気ではなかったはずのユリウスが、楽しそうなミレアを見てあっさりと手のひらを
「いくよね!」
「はぁぁああああ……」
鼻がひっつきそうなほど顔を近づけて同意を求めるルーナに、ラスターは深い
この状況でも、お断りしたいぐらいには本気で行きたくないのだが、
長い溜息で時間を
ピーンポーンパーンポーン
チャイムではない音が学校に
「生徒会からのお知らせです。ラスター=ブレイズ、ルーナ=クララ、ミレア=フォード、ユリウス=シグナ。以下四名は放課後、生徒会室までお集まり下さい。もう一度いいます。ラスター=ブレイズ――」
名前を読み上げられる中、彼らは
「俺なんも悪い事……多分……きっと、してねえぞ?」
「まぁ君だけならともかく、
「おいコラ、どう言う意味だ」
不本意な事を言われたラスターはユリウスを
「まぁまぁ、そもそも
「じゃあ、逆になんで呼ばれるんだろ?」
怒られる以外で呼ばれる事に心当たりのない
「例えば、みんな仲良しでえらいね……とか?」
「かわいい」「
「ミーちゃんちゅきー」
「きゃー」
「ちゅきちゅきー……えっ?」
身を
「ちょ、何するの! ひゃっ……やめ、やめて!」
信じられないとばかりに目を見開いたルーナは、胸をじっと見つめながら手を
「デカく……なった!?」
「やっ……せ、成長期だからしょうが、ひゃん!」
「成……長期?」
なんだそれはとばかりに
その真下に膨らみは欠片もなく、小学生のような体型だが――下手をすれば小学生の方が豊かかもしれない。
「……胸の成長に異常があるから呼ばれたのでは?」
ルーナはとうとう正気どころか知性も
「どちらかと言えば成長に問題があるのはお前だ!」
目のやり場に困るやりとりを
「どうすれば……大きくなりますか?」
「……今日の帰り、牛乳でも飲むか」
生徒会に呼び出されたせいで、場の空気が最悪にまで落ち込んでいく――いや、生徒会は何にも悪くないが。
「わかった、わかったから。映画
「ワー、ウレ……シ」
ルーナはガクッとうなだれて精気の
「ミレアちゃん、
「ま、まぁ……あはは」
「ラスター=ブレイズ君はいる?」
欠伸をしながら、家に帰ろうとしていた男――ラスター=ブレイズは
「は、はぁ……居ますけど」
「もし良ければ呼んでくれるかしら」
ふわり、と
「えっ……まぁ、わかりました」
「ありがとう」
ラスター本人の返事に、
(
「ラスター、
自分自身を教室で呼びかけるラスターに、クラスの
「じゃあ、これで」
「ありが……ちょっと待ちなさい」
「もしかして……あなたがラスター=ブレイズ?」
(……感のいい
周りの不審な反応に即座に気付く
「えぇ、まぁ、呼びました?」
「……」
ジト目で見られる居心地の悪さに、ラスターは少しばかり身動ぎしながらも、呼んできた相手を観察していく。
責めるような視線は整った顔立ちと相性がいいのか、
それに、腰まで届く長い髪はサラサラとして美しく、腕も足も細い肉体に、はっきりと主張する二つの豊かな膨らみは――多分ミレアよりも大きい。
ただ――
「なんでヘッドフォン?」
校則がどうなっているのかラスターは知らないし、悪いことをしているわけでもないが、ピンク色の可愛らしいヘッドフォンを首にかけているのは、艶やかな美女とあまりマッチしていない――似合うのは
「ふっ、似合うでしょ?」
「えぇ、……まぁ、はい」
ジト目をやめてニコッと微笑むと、さっと耳にヘッドフォンをかけて同意を求めてくる――というより、背筋に悪寒が走ったラスターは
似合うかどうかはいまいちわからないが、美人はなにしたって美人であった。
「で、なんで帰ろうとしたの?」
耳にかけたヘッドフォンを外すと、責めながらも
「それは……」
にやにやと攻め寄る美女に、ドギマギとさせられながらも、なんて言おうか考えていると
「ラスタァ……何してるの?」
「あなた、お名前は?」
「ルーナ=クララです!」
「あ、あなたこそ!」
「私は生徒会副会長カンラギ=アマネ。よろしくね」
「生徒会?」
何の用かと思いきや、昼に呼ばれていた事をラスターは思い出す――が、ラスターと違いルーナは
いきなり現れた生徒会関係者の美女――それも、あのミレアよりも豊満な肉体とくれば、放送は忘れていても、トラウマは覚えているルーナは警戒心を剥き出しにして質問する。
「なんのようですか!」
シャー……とまで言って
「あれ? 私なんか……してないわね」
ジーッと注がれる熱き眼差しの先が、胸である事に気づいた美女は、相手の体と見比べて自身に後ろ暗い事がないと
それどころか髪をひるがえして、むしろ
「ひゃああああああ、あわあわあわ」
「なにしてるんです?」
「……さぁ?」
一方的に売られた
お互いに動きづらい状況であったが、近くに教室があるため、すぐに邪魔が入る。
「副会長!?」
「あら、ミレアさんじゃない」
教室から出てきたミレアは、副会長のことを知っていたらしく、目を丸くして驚く。
「残りは……ユリウスくんね。呼んでもらえるかしら?」
「あっ、はい」
ミレアの呼びかけに即座に飛んできたユリウスと一緒に、彼らは副会長の後ろを追って歩くのであった。
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