第5話 生徒会の呼び出し
「それで、
「私に用はないんだけどね。あなた達に用事がある人がいてね」
「それ、聞かなきゃ
くだらない用事であれば、聞く耳持たずに帰るつもりであることを
「そうね……」
うーん、と首を
「駄目かどうかで言えば、帰っていいかもしれないけど……あまりオススメはしないかな?」
ニコリと笑った顔で振り向くが、その顔に『手間を取らせるな』と書いてあることをなんとなく察したラスターは素直に後ろに付いていく。
カンザキ=アマネの後ろに並んで、案内されるがままに生徒会室へ入ると、中には
明らかに武術科であろう女子生徒一人と、その
そして真ん中に居座る男子生徒はラスターも見た事があった。生徒会長であり、名前は……あれ? なんだっけ?
「
ラスターが生徒会長の名前を思い出そうとしていると
「遅くなって、すみません」
「ごめんなさい」
ミレアと、それに続いてユリウスが
ルーナに首をすくめながら、謝っているのか、
「こちらは
「じゃあ呼ばなきゃいいのでは?」
「何か言ったか?」
ギロリ、と
「いえ、色々と忙しいようで、時間を取らせてはいけないと思い、今から帰るだけです。では――」
「待たんか!」
相手がドン! と机を
「まぁ、まずは自己
最悪レベルにまで達した雰囲気を
不機嫌丸出しの女は
「第二生徒会会長シズハラ=テンキ」
「私は第二生徒会副会長ナルギ=シェーンです。よろしく!」
会長と
「第二?」
聞き覚えのない言葉に疑問を持っていると、ここまで連れてきた美人が振り向く。
「そうよ。そして私が第一生徒会副会長のカンザキ=アマネ――って自己紹介はさっきしたわね。それで彼が!」
「えっ? あっ、はい。第一生徒会会長ヒヤマ=ソウジです。一応朝礼とかで知ってるかな?」
「はぁ、まぁ」
ラスターを
「結局、第二って?」
「この学園コロニーは、
「はぁ……でしょうね」
「そして学術科の第一生徒会と武術科の第二生徒会が存在するのよ」
ということは、先程からギラギラと殺気を飛ばし続けているのと、その隣の女性は武術科と言うことで間違い無いだろう。
学園コロニーにおける行政の権限はかなり小さい。
一応、警察やら役所やらに相当するものはあるが、それらは少数の世捨て人みたいな大人と、学園の生徒によって運営されているため、多くの問題に生徒会が介入せざるを得なかった。
教師を含めても、大人の数が
「えっ!? 女の人が武術科の生徒会長!?」
「女が会長で悪いか?」
「きゃうん」
カンザキの説明を理解したルーナは
「良い悪いではなく――
ルーナの代わりにラスターは
「……」
「まぁ色々とあったのよ。色々と……武術科はほら……ね?」
「そうですか……すみませんでした」
「色々って?」
ルーナが小声で聞き、ラスターは言うかどうかで迷い、
「あるというよりは、まぁ亡くなったんだろ」
「っ――」
それであっても、二人共女性というのは珍しいパターンだが、それはそれで色々あったのだろう。
「なぜ呼び出されたのか分かってるな?」
「いえ、全く全然。教えてくれませんでした!」
一切の
「私もたいして聞いてないから、実のところ知らないのよね~」
説明不足の責任を押し付けられた副会長は、あっさりと言ってのける。
「ふざけているのか! 昨日貴様らがやったことだ!」
「……あぁ、リンゴパーティ?」
「失敗しただろ」
答えを理解すると同時に、不快指数も増大したラスターはボケに走り、ユリウスがどこかずれた苦言を
「ふざけるな!」
昨日のことを思い出すラスターに、第二生徒会長のシズハラがブチ切れる。
「四番隊のメンバーの
金切り声で
「本当ですがなにか? 問題でも?」
「なっ」「貴様ぁああああああ!」
第二副会長は驚きを見せると同時に
「……備品の損害は請求させてもらうわね」
「ふざけているのか貴様らああああ」
吠えっぱなしで
「よくも……よくも!」
「そういや、俺たちに椅子とかって用意されないんですか?」
「そんな場合か!」
「そうね。そこに座って
「……至れり
「いい仕事は、良い豆と茶葉からできるって言うのよ」
「それは初耳です。紅茶を
「なっ……なっ……なっ!?」
副会長に言われるがままにラスターは座席に座り、当の副会長は他のメンバーにも紅茶かコーヒーかのリクエストを取り始めていく。
「ふっ、ふざけている場合か?」
あまりに予想外の事態にシズハラは裏声になりながも、怒りをにじませて叫ぶ。
ラスター以外の他三人は静かに息を殺して椅子に座り、
「そうですね。いい加減真面目にする時だとわかって頂けましたでしょうか――第二生徒会
「何を!」
「話を聞く気もなく、ただ吠え叫ぶだけの
そういうと、ラスターは
にっこり笑って『でしょ?』と言うやりとりは、それはそれで周りと完全に次元がズレていた。
「えっと……いいっすか?」
「はい、構いませんよ」
絶句しすぎて、口から何も出てこない第二の生徒会長に代わって、第二生徒会副会長――ナルギ=シェーンが質問する。
「えっと……やっぱずっと気になってたんですけど、腕を切り落とした理由って何かあるんですか?」
もっともな質問にラスターはチラリと女会長の方に視線を移す。
もしかして道楽で腕を切り落としたと思われているのか不思議に思いながらも、第二の副会長に向き合う。
「そうですね。まぁ、隠してもしょうがないのではっきり言いますが――」
「隠す?」
ピクリと反応する女会長を無視してラスターは話し続ける。
「マイクロワームビーストが現れて近くにおられた……なんでしたっけ? どこぞの
「……まじっ?」
あんぐりと口を開けてナルギが聞き返す。
「そんな報告は受けてない!」
なんとか立ち直ったシズハラも、ギャアギャアと
「昨日、ワームビーストが出現したはずですが……ご存知ない?」
「それになんの関係がある! 確かにあれは、我々の
他三人は……役立たずとは言わないが、
第一の会長はどちらの味方でも敵でもなさそうな様子でじっくり見守っている。
そして――第二生徒会副会長ことカンザキ=アマネはニヤリと笑って口を開く。
『テヲカソウカ』
口パクで、手を貸そうか? と聞いてくる彼女に投げていいものかどうか……
とりあえず、味方がいることはわかったので、ラスターは
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