第3話 ワームビースト
ラスター達の集合場所であった、初代
「ワームビースト……」
きゃあああああああ
「どうしよう……」
ラスターの
ワームビースト――血を吸い、肉を喰らう、人間を
数百年前、人類が宇宙進出を
人間を一人
幸いにして、大量の人間を喰らった
だからこそ、人類は地球との決別を果たし、再発展をなんとか
「ラスター!?」
ユリウスの
「動くなよ」
ラスターは前腕部が半分ほどまで喰われた男の上腕部を
血が吸われ、弱まっていた肉体から腕を切り外すと、ラスターは虫がついた右腕を遠くへと放り投げた。
バリッ、ムシャ、グチャ
そして――次の目標を見定めた。
「ひゃっ……」
ぶんぶんと右に左に動きながら、ルーナ向けてワームビーストは
「いやああああああああ」
「ルーナあああああ」
ルーナを襲おうとするワームビーストに、ラスターは果物ナイフを投げ放ち、クルクルと回って飛んでいくナイフはワームビーストの足を切り飛ばす。
――びぎいいいいいい
話しているのかそれとも
周囲の
ベルトしかついていないズボンにラスターは手を
周囲の
微かな動きを
すると、ワームビーストは体の向きはそのままに、羽を震わせて真後ろへと飛んでいった。
「ルーナ!」
「らすたああああ。怖かったよおおお」
「分かったから落ち着け、立てるか?」
「無理、動けない。腰
グスンと鼻を鳴らしてそんなことを言う。
「しゃーない」
ラスターはギュッと
「ふぇっ、もうちょっとなんか……ふにゅ……」
「何?」
「……お
「投げ捨てるぞ」
この
安心しきったらしい
「
「大丈夫じゃなさそう」
ミレアとユリウスの二人の様子を聞いたラスターに、ミレアはナンパ男の状態を答える。
「とりあえず止血はしたけど……」
ラスターがワームビーストと睨み合う間に、ユリウスは気絶しているナンパ
ちなみにミレアにはユリウスがさっきまで来ていたジャケットが
――ワームビーストの反応を確認。
ようやく鳴った非常警報が現在の状況を告げる。
――ワームビーストの反応を確認。ワームビーストの反応を確認。場所は南口ガレージ前。場所は南口ガレージ前。
「えらく飛んでいったな……」
「ラスタぁ……」
不安そうな声でルーナが服を引っ張る。
「とりあえず、シェルターに行こうぜ」
「でも……どうする?」
ナンパしていたゴミを放置してラスターは歩き出そうとするが、ミレアは心配そうな顔をしている。
「一応、傷は手当てしたけど、放っておいたら危ないよね?」
心優しいユリウスもミレア同様に心配する――問題があるとすれば二人とも優しさはあるが、力がないこと。
二人掛かりであっても、シェルターまで運ぶには時間がかかるだろう。
「わかった、わかった」
ラスターはめんどくさそうにゴミの左腕を
「ラスタぁ……」
「何?」
背中
「大丈夫、もう歩けるよ」
ルーナはそう言って降りようとするが、ラスターは担いだままガッチリ固めて離さない。
「ラスタァ?」
「
ラスターは身動きの取れないルーナへ、そんなことを言う。
「君ねぇ……」
明らかに持ちたがらないラスターに、ユリウスも呆れるが――それ以上を彼は言わなかった。
山道ならいざ知らず、この程度の地面なら引き摺ってでもシェルターに持ち運ぶ方が安全である。
それに、止血は成功していると言っても流れた血がなくなったわけではない。
ドロドロに
「ミレアは大丈夫か? ユリウスに運んでもらう?」
「大丈夫です」
「じゃあ、ユリウスを運んでやってくれ」
「お前なぁ!」
ラスターの軽口に不満をあげ、ユリウスも恐怖を無理やり追い出していく。
「じゃあ、行くぞ!」
ルーナを抱えながら、気絶したナンパ男の体に生傷を増やしつつ、近くのシェルターへ歩き出した。
「
シェルターについたラスターは、待機している
「大丈夫ですか? 今こちらで預かりますね」
言うが早いか、何人か集まって――全員女性なのはルーナに対する
彼女達はラスターの肩からルーナを取り上げていく。
「ふぇ!? なに? なに?」
ふにゃふにゃと
「お
「怪我?」
なんのことかわからないルーナは不思議そうに聞く。
「重症
ラスターは担いでいた少女ではなく、引き摺っていた男を差し出す。
「えっ……は、早く担架を」
「どう言うことですか!」
「まぁ、なんやかんやあって腕を取ったんだよ」
「なんやかんやって、なんです!?」
「えっと……」
訳の分からない受付の女子はルーナへと視線を移す。
「ふぇ、……うーん、その……かくかくしかじかです!」
力強く説明すると、ルーナもラスターを追って中に入っていった。
「あの……説明を」
「
言うが早いかミレアは説明を
「あのー」
助けを求めるように見る職員にユリウスも
「えっと……色々あったんですよ」
次に続くユリウスも、説明は一切せずに入っていく――どう説明すればいいのかよくわからないのと、あまり関わりたくないと言った本音があり、そうして四人は中へと入っていった。
避難所に入って、最初にやるのは自分達の
シートを
「ワームビーストの騒ぎなんて、大丈夫かな?」
事前に分かっていれば、時間を
未だ避難警報の
「シェルター内だし、へいきへいき」
「お前なぁ……」
シートの上でダラダラするぐらいしかないラスターはスマホを見ながら楽観的に答えると、ユリウスは呆れたように言う。
「それよか、リンゴどうするよ」
しても意味のない心配など、するつもりのないラスターは潰れた予定のパーティー――リンゴの行く末の方がよっぽど重要である。
「それよかって……そうだな――」
流石にそこまで割り切れないユリウスだが、実際問題手の出しようがない。
「ユリウスくん、何個持ってきたの?」
「二〇個ぐらい」
ミレアに聞かれて、ユリウスが答える。
「それ、今日の晩飯に使っても消費しきれないだろ……」
無理やりであればラスター一人でも食べれなくないが、
「別に今日中に食べ切るつもりもなかったからなぁ……」
半分ほど残して、残りは冷蔵庫に入れるつもりだったユリウスも困った顔をする。
「私、とりあえず手伝いの方をしてくるね。このリンゴは使わせてもらうわ」
そう言ってミレアはリンゴを手に取っていく。
快適な避難所生活を送るためには、ボランティアに参加することで、
特に、ミレアはこの手の
「
ミレアと
「……ユリウスくん、ちゃんと宿題させといて上げてね」
「はっ!?」「へっ!?」
「
驚くラスター達を無視して、ミレアはボランティアへと参加しに行く。
「この状況で宿題だと……」
「
「そもそも、その予定だし……」
「この状況でやることは想定してねーよ」
リンゴの食べ尽くしを目的とした晩飯後に、宿題をする予定は立てていたが、避難所でする事になるとは思っていない。
全く集中ができるはずもない中、ユリウスの指導の元、二人はなんとか解答
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます