第6話 決然
……
野華さんは、彼女が勤めている大企業『アティロム』のイメージガールで、今は新しいアティロムの紹介動画の撮影中だ。
あまり邪魔しないように遠慮していたのだが……まさかあれが最後になってしまうなんて事になったら……悲しいな……。
俺はそんな気持ちを吹き飛ばすべく顔を手のひらで数回叩いた。 そして作戦参謀に向かって……
「俺は貴官に決闘を申し込む!」
……と決然と叫んだ。
それまで
「作戦参謀! 待て! 今、兄は正常な判断が出来なくなっている! 総参謀長、軍医を呼べ!」
ユイが慌てた様子で俺と作戦参謀の間に割って入ったが、すかさず作戦参謀が……
「前司令官は引っ込んでいて貰おう!」……と横柄に言った。
ユイは「き っ さ ま ぁ 〜 !」と真っ赤になって作戦参謀の巨大な指に掴みかかろうとしている。
ユイは奴ら
「待てユイ! 俺は冷静だ!」
「
「バカな事を言っているのは充分に理解している! しかし俺は、人間として
……ユイは暫く俺の目を見つめていたが、やがて目を潤ませ……
「……兄……死ぬ気か……?」と言った。
俺はワザと笑顔で「バカ! 死ぬ気なんて全く無いよ! ただ、もし俺が負けたら……」と言って、ユイに耳打ちして、一つだけ願い事を伝えた。
それを聞いてユイの目からは大粒の涙が溢れ落ちたが、力強く頷いてくれた。
「話し合いは済んだようだな。 して『臨時総司令』殿! 如何なる決闘をお望みか?」……と、作戦参謀が強い圧と殺気を放ちながら憎々しげに言った。
俺はそれを跳ね返す勢いで
「俺を……『洗脳』してみせろっ!」
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