第9話 頭のおかしい女と男

男は『鈴木』の同僚だった。

『河野 愛子』のマンションの前でインターホンを押す。

『鈴木です。』

帽子を目深に被り、声色を替える。

暫くしてから自動ドアが開く。


『河野 愛子』の部屋の玄関の前で、男はどうやって痛め付けようか興奮していた。

手の指を1本1本折るか、丸坊主にするとか。

男はニヤニヤして、扉が開くのを待ち構えていた。

男は『鈴木』の事が好きだった。が、『鈴木』に同じように入れ込んでいた『河野 愛子』にも同じように興味があった。


『河野 愛子』は玄関前で、自分を追いかけて来たと思われる『鈴木』の振りをしている同僚をどうやって部屋に閉じ込めておこうかと、ワクワクしていた。

薬を使っても良いし、電流を段々と強くするのも効果がありそうだ。

『河野 愛子』は『鈴木』の事が好きだった。が、『鈴木』の事を好きな同僚にも同じように興味があった。


テレビのニュースでは久しぶりに『河野 愛子』の話題が上がっていた。

別名義で借りていたマンションに捜索が入り、死体が2体発見された。と、キャスターが興奮気味に言っている。


『鈴木』は隣にいた烏と見つめ合った。

テレビを消して、烏の為にピザをひと切れ皿に取ってあげる。

ついでに頭をひとなでしてあげると、烏は満足そうに目を細めてから、ピザの上に乗っているサラミを食べた。

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