第7話 節電のフライパンで、オムライスを作ってみた!電気代が上がっても喜べた、私の理由とは?

 神様の節電話は、ハッピーバレンタインだ。

 その、翌日…。

 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン…!

 あの神様と同じような押し方で、チャイムが鳴らされた。

 「ただいま」

 「え、いや…、あ…、お帰りなさい」

 玄関先には、追放したはずの夫が、立っていた。照れくさそうに。

 久しぶりに、母と、私と、夫、 3人での夕食タイムが近付いた。

 節電の神様が置いていってくれたフライパンを使って、オムライスを作った。

 「うん。美味い!」

 夫に、オムライスを、たらふく、食わせてやった。やっぱり夫は、オムライスが大好きなのだ。

 そして…。

 TV番組の、ニュース。

 え、え、ええ?

 「今入った、ニュースです。他人の家に押し入り、節約生活を言葉巧みにさそい、窓を開けさせ、住民を油断させ、開けられたその窓から侵入して盗みをおこない続けてきた犯人が、捕まった模様です。しかし、その犯人は、煙のように消えてしまったとのこと。くり返します、くり返します…」

 ネットニュースでも、同じことがいわれていた。

 夫は、何も言わず、美味しそうに、茶を飲んでいた。

 母と、顔を、見合わせた。

 「…?」

 「…?」

 節電の神様って、誰だったんだろう?

 神様は、言っていたっけ。

 「節電で、幸せな生活を、手に入れましょう!」

 その、幸せとは…。

 生活用品を手に入れられた幸せだけでは、なかったんだと思う。きっと。

 だって…。

  1年後。

 我が家に、大変化が起きた。

 これが、節電の神様の言う、本当の幸せだったんじゃないか?

 電気代の高まりは、なかなか、収まらなかった。

 が、母も夫も、いやな顔はしなかった。

 私も。

 なぜって…。

 我が家の電気代が上がったのは、我が家に住む人が、 1人、増えたから。

 私と夫との間に、子どもが生まれたのだ。

 「あ…。あのことを、思い出してきちゃった」

 子どもや赤ちゃんというと、ある女性芸能人のことを、思い出す。

 あの芸能人の、あの会見を、覚えていますか?

新年の、あの会見!

 どう、思いましたか?




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