第47話 自虐

顎を持ち上げ、視線が合うのを待ち、唇を重ね合わせる。


シユが接吻に気を取られている間に、ギヨウは、サッと自分のものを勃たせた。


双丘の奥の窄まりに、先端を押し付ける。すると、シユは、そわそわし始めた。


また何か入って来る。しかし、男の腕の中からは逃げられない。


ならばと、必死に閉じようと頑張っているようだが、それも無意味だった。


拡張された後孔は、ゆるゆると男を迎え入れていく。


先程まで腹の中に収まっていたものと、違いを認識しているだろうか。


「ここに何が入っている?」

意識を向けさせたくて、下腹部をさする。


ぎゅっと締め付けられて、ギヨウは眉間に皺を寄せた。


実は、すべてを理解しているのではないかと、思う時がある。


しばらくして、苦しげだった呼吸が、鼻にかかる吐息に変わった。


シユに自我があれば、自ら腰を振ったのかも知れない。


男色についての知識は、いつ、どこで得たものなのか。


手近な人間を、初めての相手に選ぶのは、らしくもある。


好奇心旺盛なわりに、臆病で、傷つきやすい一面があるからだ。


ふと、乳首に目がいく。触れると、少し硬くなっているのが分かった。


あまり弄ると腫れてしまうから、すぐに手を離す。


ギヨウは、細い腰を掴んで、シユの体を引き上げた。 


勢いよく擦られ、シユの口から、うぅと呻き声が漏れる。


下半身を拭いて、捲れ上がった裾を元通りにする。


シユが眠りにつくと、ギヨウは蝋燭を吹き消し、部屋を出て行った。

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