第42話 見込み違い

屋敷へ戻ったギヨウは、真っ先にシユの部屋に向かった。


シユはおらず、施薬院へ行くと、今、薬を届けに外出していると言う。


「呼んでこい」

その夜、留守中に溜まった仕事を手早く片付けたギヨウは、側近に命じた。


満たされない体を持て余し、戻ったら飛んで来ると思っていた。


あの程度では、足りなかったか。

それとも。


少しすると、シユが入って来て、机の前に跪いた。


他人行儀な態度で、様子がおかしい。

「湯殿へ行け」


浴場の入り口で、シユは服を着たまま、ギヨウを待っていた。


俯き加減のシユを、抱き寄せる。シユの肌は、汗ばんでいる。


腰紐に手をかけようとすると、させまいと指先を強く握り込んで来た。


「どうした?」

耳元で、優しく問いかける。


シユは体を震わせて、何でもないというように、首を横に振った。


ギヨウは、腰ほどの高さの脱衣台の上へ、シユを押し倒した。


手荒に裾を捲られると、シユは、何をされようとしているのか、理解したようだった。


ギヨウは、股を開かせた状態で、シユの両足首を一掴みにし、腹に押しつけた。


先日、赤みを帯びていた入り口は、腫れが引いて、元の色に戻っている。


自分で遊んで怪我でもしたのだろうと思っていたが、思い違いのようだ。


指を差し込みたい衝動に駆られたが、ギヨウはこらえた。


欲求不満なのは自分の方だと気づき、大きく息を吐く。


両眼を手で押さえて、シユがぼそりと言った。

「…勃たなくなった」

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