第27話 比べるな

シユは、自室の寝台の上で、寝ずにギヨウを待っていた。


ここ数日は、王府で過ごしている。屋敷に行きたいと、言い出せない。


先程、ギヨウが東殿に戻って来たのは、空気で感じた。


足音が、近づいて来る。毎夜、眠る前に、様子を見にやって来る。


ギヨウは部屋に入るなり、なぜか、燭台へ火を灯した。


それから、寝台に乗り込んで来る。隣で寝るつもりなのだろうか?


頭側の壁面にもたれると、ここへ来いと、太腿をトントンと叩く。


シユは、同方向を向く形で、ギヨウの足の上を跨いで座る。


下を向くと、長方形の箱が、ギヨウの手の中にあった。


箱の中には、見慣れない物が、仕舞われている。


シユは、自分の腰紐が解かれたのに、気がついた。


夜着の裾を捲られ、大腿の内側を、優しく撫でられる。


その手はすぐに、前方に触れて来た。数日ぶり、いや、それ以上だ。


「んっ」

少し触れられただけで、シユは、あっという間に、登りつめてしまう。


だが、吐精する直前で、ギヨウは手を止めた。


シユは驚き、閉じかけていた目を開いて、自分の股間を見る。


ギヨウの右手には、ピンと張り詰めた自分の性器が、収まっている。


一方、左手には、円筒形をした物体が握られていた。あの箱に入っていたものだ。


ギヨウは、両方を寄せて、大きさを見比べるような、動作をする。


シユは、それが何か、はたと思い当たり、驚愕した。


そんなもの持って来て、どうするつもりだ?

それに、なに、比べとんのじゃ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る