第21話 目の毒

数日後。ギヨウはシユを連れて、王都へと向かっていた。


一度戻れと、書簡が届いたのは、ひと月も前だ。


気は重いが、これ以上、無視し続けるわけにもいかない。


「寒い」

風呂の中で、シユが、腕を回して来た。


片手で、湯を掬い上げ、シユの肩に流し掛ける。


「指を入れて」

耳元で囁かれて、ギヨウは、一瞬、固まった。


一緒に風呂に入りたいと言ったのは、そのためか。


細い腰を支え、体の向きを変えさせる。

「そっちじゃない」


「黙れ」

冷たく言い放つと、シユは、抵抗をやめる。


正直、この体を、一生、穢したくはないし、穢させたくもない。


先日、調べた時は、痛がっていたのに、もう忘れてしまったのだろうか。


シユのほっそりした首に、息を吹きかけると、くすぐったそうに、体を捩らせる。


頭や、こめかみ、そして、耳に、ゆっくりと、口づける。


すると、シユの肌は粟立ち、痙攣するように全身が震えた。


昨日は、寝台の中で、肌を寄せて来て、仕方なく、背中を吸った。


だから、背中は今、痣だらけで、正視に耐えない。


日増しに、要求は大胆になる。この年頃の性欲は、際限がない。


女ならば、結婚のために、処女を守るだろうが。


シユは男で、気が向けば、容易に股を開くだろう。


何ら許しを得ることもなく、バッサリと髪を切り落とした時のように。


「んん」


前を触ると、すぐ果てて、終わってしまうから、嫌だと言う。


必死に我慢している姿は、可哀想だが、可愛くて、目の毒だ。

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