第14話 執心
オウエンが去り、シユは、横たわるギヨウに近づいた。
ギヨウは、目を閉じていて、眠っているようにも見えた。
寝室に運びたいが、見かけ以上に、体が重いのを知っている。
脈を確認するため、そばへと腰を下ろすと、手首を取られ、床に押し倒された。
「オウエンに話していいと言ったか?」
低い声は、怒気を孕んでいる。
傷ついた体を、不本意にも暴かれて、ギヨウは怒っているのだ。
体を反転させ、逃げようとするも、腰紐を掴まれ、引きずり戻される。
先程、やり込められていたのは、相手がオウエンだからだ。
背中で、両腕を一掴みにされ、伏せた体を床に押し付けられる。
首を捻って、顔を上げようとすると、大きな手が、視界に降りて来た。
髪を掬い上げるが、毛先はすぐ、こぼれ落ちてしまう。
「切った髪は、どこにある?」
シユは、それを聞いて、瞠目した。
もはや、母への思慕は、執着を通り越して、狂気じみている。
懲罰を代わりに受けるなど、以前ならしなかったはずだ。
「捨てた」
答えると、ギヨウの手が、一瞬止まった。
少しの間を置いて、ギヨウの手が、足元から下穿きへ入って来るのを、シユは感じた。
その手は、一気に上がって来た。双丘を押し分け、あらぬ所へと到達する。
硬い指先で、トントンと叩かれて、ようやくシユは、その意図を理解した。
だが、遅かった。次の瞬間、中へずぷりと差し入れられる。
「あぁぁっ」
シユは、経験のない痛みに、悲鳴を上げた。
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