第12話 刑罰
ギヨウは、剣を磨いていた手を止め、考えに耽っていた。
ソウハ以外の全員を下がらせ、盗んだのは自分だと、シユが自白したのだ。
盗んだ内容物を、ヒツは全くだったが、シユは、スラスラと答えたという。
そのような度胸や行動力は、以前はなかった。別人のようだ。
ならば本当に、その体を差し出した、とでも言うのか。
そんなはずはない。同居人を庇うために、嘘をついているのだ。
嘘は、許し難い。だが、嘘だと明らかになれば、今度は、偽証の罪に問われる。
剣を鞘に収めると、ギヨウは立ち上がった。屋敷の地下牢へと向かう。
きちんと罰は受けさせる。そう言ったものの、心は決めかねている。
石段を降りて行く。地階は薄暗く、少し肌寒かった。
格子の向こうに、壁を向いて、繋がれているシユがいる。、
内着だけにされて、その時を待っている。人生初めての刑罰を。
背は伸びたが、体つきは変わらない。腰は細く、尻は小さいままだ。
御史の一人が、細い杖のような棒を持って、歩いて来る。
母親譲りの、白く滑らかな肌は、触れるだけで、赤い跡が付くほどだ。
一生、残ってしまうだろう。
想像するだけで、吐き気がする。
シユは、誰かが覆い被さるように、体を重ねて来たのが分かった。
声を上げようとすると、口元に、柔らかな布のようなものを、押し付けられる。
さらりと落ちる音がし、足元に纏わり付いた。シユの意識は、そこで途切れた。
「代わりに打て。ソウハには、後で伝える」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます