第2話 (異世界)初めての大爆死

 取り敢えず契約したミミックの召喚石からミミックを契約召喚サモンする。

召喚石はダンジョンの全ての魔物からドロップする物で、見た目は蒼い魔石だ。

使う事で落とした魔物を召喚できる。こう聞くと可成りやばそうだが、契約は格が違過ぎると出来ない、冒険者ギルドの表記ではS.A.B.C.D.E.F.G.H.Iの内Fランク、魔物としての格はLvⅡに属するミミックはサモナーのLvIでギリギリ契約できる魔物だ。


「…契約召喚サモン ミミック」


「キュキュルア!」


 奇妙な鳴き声と共に姿を表したミミックの見た目は、木で出来た宝箱から赤い6本の節足が生え宝箱の中には多数の牙と長く巨大な舌が見える。

一言で言うなら割とキモかった。


「キュルア」


 とりま、便利なのでずっと着けてる鑑定の片眼鏡モノクルを使う事にする。


「…鑑定。」


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「       」             ミミック   LvⅡ       


スキル                   肉体ボディ230

                      精神メンタル55

空箱ボックスⅡ             魔力マナ30

                      運命フェイト10

擬態Ⅰ


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 強い、強いのだが。


「…何これ。」


 取り敢えず押してみるか。


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ギルド情報


危険度 Fランク


ダンジョンにのみ存在する魔物。

戦闘能力はFランクの中でも下位に属している。

ダンジョンの上層各地で宝箱に擬態しており、探知や警戒を怠った新人パーティーが擬態時から無防備な所に奇襲を喰らい、被害にあう事が多い。

上位種や亜種も幾つか確認されているが、生態を含めて未だに謎が多い。

舌肉は絶品食材として有名。

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「これで弱いのか…えぇ、レベルが違うと完全に別物とは聞いてたけどここまでかよ。」


 確かに魔物はスキルが少ない代わりに能力値が高いが…聞いただけなのと実際に見るのでは結構変わってくる、これは流石に予想外だった。


「タンが美味しいのは知ってるけど。」


たまのご馳走として家で出るから…母さんの大好物なんだよなぁ。


「魔物は同ランク帯のパーティーなら知識があれば勝てる…だっけ?」


勝てるのか…


「召喚に使った魔力は20…契約には…30か。」


 魔力回復の為に一旦寝よう。

魔力は基本3分に1%自然回復する、寝ると2分に1%に成るのだ。

魔力を半分使ったので2時間ほど寝る事にする。

他にも方法があるが、異世界最初のガチャはリフレッシュした気持ちでやりたい。

ガチャ廃人はジンクスを大切にするのだ。

寝るのにはテルル草を噛めば良いだろ。

2時間なら2枚で良いはず。

はむはむ…すやぁzzz




「…おはよう」


「キュア」


 と言っても昼だが。

起きて早速だがガチャをしようと思う。


「ふん〜ふん〜ふ〜ん」


 俺の仮説が正しければ…これでガチャが出来るはず。

まず触媒としてダンジョンの宝箱からのドロップを用意する。

俺のは右腕に着けている蔓の細工が彫られた木製の腕輪「新緑のリング」

効果は魔力+20と微妙だが魔力を使い切ると気絶するので20残るのは助かる。

次に新緑のリングを媒体としてダンジョンを対象とした想起召喚コールを使う。

当たり前だが抵抗されるし、普通召喚出来ないのだが、ここで召喚時に闇雲ランダムを使う事で召喚自体は成功し、ランダムでダンジョンのドロップが召喚される。

闇雲ランダム使っている以上完全なガチャしようだ。

闇雲ランダムの仕様状魔力は必要最低値の10でいいし、気絶しない様に10残してガチャに使う事にする。

まずは10連逝くぞーーーっ‼︎。

その前に乱数調整で狂った様に踊る事にする。

ジンクスだからねしょうがないね。


「…闇雲ランダム想起召喚コール命令オーダーcodeコード:ダンジョン」


▶︎ゴブリンの召喚石

▶︎ゴブリンの布

▶︎ゴブリンの召喚石

▶︎ゴブリンの布

▶︎ゴブリンの棒

▶︎レイスの魔石

▶︎スケルトンの召喚石

▶︎ミルククの実

▶︎ゴブリンの棒

▶︎ゴブリンの召喚石


お・ま・え・こ・れ・は。


「大爆死じゃねぇかっ‼︎チックショーーーーーーーーー‼︎」


「キュア⁉︎」


何かミミックが驚いてるがそんな事気にしてる場合じゃない。


「うぐっひぐっ。へへっ、涙が目に沁みるぜ。」


「あああ、初回無料の確定演出闇雲召喚ガチャしよっ。」


大爆死の気分を切り替えるには神引きするしかないのだ。


今回も踊る、のりのりな感じで。


「…確定演出クリティカル闇雲召喚コール


 今回は命令は要らないだろ、あれ召喚の補強だし。

これで失敗したら女神にデバック申請する。


▶︎大魔女の大釜


「ズズズって来たなあ〜、でっか。」


レア何だろうが見た目じゃわかんねぇ。


 見た目は確かに魔女が緑色の液体でも掻き混ぜてそうな大釜何だが。

…まずは順番に見て行くかぁ。


「…鑑定。」


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ゴブリンの召喚石


ゴブリンを召喚する。


契約者:リデル


ギルド情報


取得難易度 Cランク


ゴブリンからドロップする召喚石

レアドロップではあるが所詮ゴブリンの為、手に入れても運を無駄にした事を嘆かれる。

別名「最上級廃棄物」

売っても二束三文の為、ダンジョンにすぐ捨てられる事が殆ど。

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「うわぁ…」


 ここまで手にれても嬉しく無い物は早々無い。

評価ひど過ぎるだろ。


「なんか契約済みだし…」


 召喚で出したからだろうが。

唯高Lvでも契約済みなのは助かる。

本来はLvをあげる必要があるから。

取り敢えず召喚するかぁ。


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「       」             ゴブリン   LvⅠ       


スキル                   肉体ボディ15

                      精神メンタル5

連携Ⅰ              魔力マナ5

                      運命フェイト5

悪食Ⅰ


ギルド情報


危険度 Iランク


町や村を除けば、何処にでもいる魔物。

戦闘能力は単独では祝福を受ける前の子供よりは強い。

基本的に2〜5匹で群れなしており、数が増えるほど危険度が上がる。

多数の上位種、亜種、変異種、特異種が確認されており、生態も多く知られている。

全滅させたとしても気づけば増えてるほどに繁殖能力が高く、1匹見たら酷い時は100匹はいる事さえ。

知能は基本五歳児程度だが上位種の命令には必ず従う。

その為、大侵攻ではその身を肉壁にする厄介な魔物と化す。

放って置くと大侵攻の切っ掛けに成る事も多く、見つけ次第討伐を推奨される。

旨みは無く、冒険者業界の厄介者である。

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「なるほど…これは…べたなゴブリンだなぁ。」


「ぐぎゃぎゃぎゃっ」


 緑色の肌、高い鷲鼻、矮躯、醜悪な顔、ボロい腰布…

ゴブリンと言われてすぐに想像できる感じのゴブリンだ。


「どんどん行こっか。」


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ゴブリンの布


質の悪い布


ギルド情報


取得難易度 Iランク


ゴブリンからドロップする布。

腰布では無い。

何故これを腰布にせずボロ布を使うのかは未だに判明していない。

ダンジョンへの筆頭廃棄物の一つ。

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「…………」


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ゴブリンの棒


最低限、棒としての態勢を整えられた木材


ギルド情報


取得難易度 Iランク


ゴブリンからドロップする木の棒。

杖では無い。

稀に冒険者に依って焚き火の薪として使われる。

ダンジョンへの筆頭廃棄物の一つ。

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「はぁ…」


何と言えん。


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レイスの魔石


レイスの持つ魔石


ギルド情報


取得難易度 Hランク


レイスからドロップする魔石。

ダンジョンの外のレイスからも手に入るがレイスに遭うのが極めて稀。

仄かに冷気を放って折、幽かに鼓動する。

標準的なHランクの魔石の一つであり、様々な用途がある。

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 よくわからん。

魔石は紫色の結晶だ、魔道具とか色んな事に使えると聞く。

レイスの魔石だから冷気を放っているのが特徴かもしれない。


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スケルトンの召喚石


スケルトンを召喚する。


契約者:リデル


ギルド情報


取得難易度 Cランク


スケルトンからドロップする召喚石。

レアドロップではあるが所詮スケルトンの為、手に入れても運を無駄にした事を嘆かれる。

別名「上級廃棄物」

ゴブリンよりはまし。

スケルトンを倒せる冒険者なら、売ってもお小遣いにも成らない為、ダンジョンにすぐ捨てられる事が殆ど。

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「またかぁ」


はぁ…召喚。


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「       」             スケルトン   LvⅠ       


スキル                   肉体ボディ50

                      精神メンタル20

生命感知Ⅰ            魔力マナ10

                      運命フェイト5

自動甦生:不死者オートリバイブ:アンデッド


ギルド情報


危険度 Hランク


ダンジョンの外では稀に誕生する。

闇の魔力により体を動かしており、朝は動けず基本夜に動く。

浄化以外の方法で倒しても時間が立てば復活する。

その為、ダンジョンの場合は浄化しないとドロップを落とさない。

なお、例外はある。

生者を積極的に襲い、また魔力で世界を認識している。

多数の上位種、亜種、、変異種、特異種が確認されている。

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 目の部分に青い炎が燃える白い骸骨、胸の中心には魔石が浮いている。


「俺よりは強い。」


「………」


鳴き声は無いらしい。


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ミルククの実


白乳木になる実。


ギルド情報


高級果実の一つ。

ミルクの様な独特の味を好まれている。

栽培には原則、国の許可が必要であり、密輸が絶えない。

最低金額は金貨3枚。

極めて、極めて稀にトレントからドロップする。

ドロップした物には種が無い。

その為ドロップ品からの栽培は不可能である。

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 見た目、真っ白いラフランス何だが。

しゃくしゃく。


「諄く無い…練乳?」


ありっちゃあり。

苺が欲しい所。

最後はお楽しみのレア物だ。


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大魔女の大釜


大釜に入れた物に、錬金:合成をLvⅩ相当で使用可能。

基本的に絶対成功する。


ギルド情報


該当データが存在しません。

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「え、えげつねぇ…」


 休憩したら使ってみる事にする。

基本的になのは闇雲ランダムの所為だろうな。

やたらダブりが多い事からは目を逸らしとくとして。

…加護が運命の女神の期待大になって運命フェイトが+80になってた。

絶対に許さん。





《運命の女神■■■side》


「…ふっ…ぐっ…くふっ…あーはっはっはっは…ゴホッ…ゴホッ。」


「だ、大丈夫ですか?■■■様。」


「だ…大丈夫よ…大丈夫…」


それにしてもやっぱりおもしろ事になったわね。


「楽しそうですね?もしかしてあの加護を与えた子ですか?」


「ええ、そうよ面白くてつい一個上の加護をあげちゃった。」


「あれは…なぜ闇雲ランダムを使ってるのに全ての召喚が成功を⁉︎」


ああ、あれね。

私たちも何でも知ってる訳じゃ無いからね。

祝福もギャンブラーは私の管轄だけどサモナーは違うし。

偶に予想もしてない組み合わせや使い方を見るのは楽しいわ。


「召喚、あの子風に言うならばガチャの事ね。あの子も賭けだったらしいけど、特定の条件を満たした上で結果に対して使うと、判定が確定で成功して、結果だけが闇雲ランダムの影響を受ける見たいね。」


「………‼︎」


驚いてる、驚いてる。


「錬金の方でも使うつもり見たいねぇ。」


多分だけど本来は合成できない組み合わせに対して使うつもりじゃ無いかしら、大半は普通に合成するつもりみたいだし。


「錬金でもですか…」


「それにしても最初っから面白い引きをしたわねぇ。」


「面白い…ですか?余り良い物とは思えませんが。」


まあ、物だけを見るとね。


「普通召喚石のドロップ確率は低いのよ。要らないだけでレアではあるわ。絶妙に要らないのを引いときながら最後にアレを引いてる当たり色々持っているんでしょうけど。」


「■■■様の加護で運命フェイトが上がった所為では?」


そうとも言うわ。

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