月の砂、望郷の海
伊島糸雨
月の砂、望郷の海
月の魔術師は
夜闇の
時楔の塔を象った月砂の時計は、
祝祭は月が都市に最も近づく夜に行われ、人々は静謐の中で熱狂する。家々の戸口には白い
生涯に境界を引く自由を永遠とした虜囚たちは、血に刻まれた原風景を忘れてゆく。けれどもしもそれを拒むのなら、砂時計に添えた手を離すことが最善である。
夜闇の
月の魔術師は、時楔の塔を越えて彼方の海へ還るという。しかしその行く末を知る者はなく、都市の在る限り祝祭は続く。青褪めた手が時計に触れる。砂は今も落ち続けている。
月の砂、望郷の海 伊島糸雨 @shiu_itoh
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